[ドバイ 19日 ロイター] - イラン政府当局者は19日、イラン核合意の再建に向けた米国との間接協議について、ある程度の進展が見られているとし、中間合意が得られる可能性があるとの見通しを示した。

対立する米国とイランは今月初めからウィーンで欧州などが仲介役となり、間接協議を開始。米国による対イラン制裁とイランの核合意違反が協議の焦点となっている。

イラン外務省報道官は19日の記者会見で「最終的な合意が得られたわけではない」としながらも、「協議は正しい軌道に乗っており、幾分の進展が見られている」と指摘。

ロシアの国際原子力機関(IAEA)大使、ミハイル・ウリヤノフ氏は「実質的な解決にはまだ遠いが、協議は一般的な文言から目標に向けた特定の措置の合意に移っている」と語った。

別のイラン政府当局者は「5月の期限が近づく中、技術的に複雑な問題の解決に向けた時間を確保するために、中間合意の枠組みが討議されている」と述べた。

イランでは昨年、制裁が解除されない場合に政府に核活動の拡大を義務付ける法律が成立。同法には2月21日以降のIAEAによる抜き打ち査察の受け入れ停止が含まれたが、政府とIAEAは2月下旬、最大3カ月はIAEAが必要な検証・監視作業を継続することで合意している。

イランの核交渉を担当するアラグチ外務次官は国営メディアに対し、中間合意に関する協議はされていないと語った。

だが、別のイラン当局者は、制裁の全面解除に向けた措置で政治合意があれば、イラン政府は外国資産の凍結解除と引き換えに20%へのウラン濃縮を停止する可能性があるとの見方を示した。

米国務省報道官は、米国側がイランと米国の双方が再び合意を順守するために必要な措置について、具体的なアプローチを模索していると説明。間接協議は慎重に進められており、大きな進展はまだないが、そもそもこの協議が容易かつじん速に進むとは考えていないと述べた。また、米政府の代表団は協議のためにいったん帰国する見込みだが、時期については不明だとした。

これに先立ち、欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は、協議に進展が見られるという認識を示し「合意に向け、(米国とイラン)双方に真の善意がうかがえる。これは良いニュースだ」とした上で「双方は合意に強い関心を持っており、一般的な問題からより個別の問題へと焦点が移行している」と述べていた。

*イラン当局者と米国務省報道官のコメントを追加しました