[東京 19日 ロイター] - トヨタ自動車は19日、渉外活動が地球温暖化防止の国際的枠組みであるパリ協定の長期目標に整合しているかどうかを精査し、年内に情報開示すると発表した。温暖化対策に対する姿勢が積極的ではないとして、投資家や活動家が同社への圧力を強めていた。

2019年に米カリフォルニア州と当時のトランプ政権が争った排ガス基準の訴訟を巡り、トヨタやゼネラル・モーターズなど複数の自動車メーカーが政権側を支持。トランプ政権は独自基準を設定した州の権限を取り消し、州が撤回を求めて訴訟を起こしていた。

投資家や活動家はトランプ政権側についた自動車メーカーを批判、温暖化対策に対する姿勢を改めるよう圧力をかけた。米国でバイデン政権が発足した後の今年2月、トヨタなどは前政権側への支持を撤回した。

トヨタはこの日出した声明で、「渉外活動がパリ協定の長期目標に整合しているかどうかのレビューと情報開示を年内に実施する」と発表。多くのステークホルダー(利害関係者)に理解してもらえるように「充実した情報開示に努める」とした。

トヨタの広報担当者はロイターの取材に対し、渉外活動にはロビー活動も含まれているとした上で、投資家からの圧力を受けているかどうかについてはすぐに答えられないとした。

トヨタに圧力をかけているのは、運用資産の合計が約2350億ドルに上る4つのファンド。6月の定時株総会前に、地球温暖化防止に向けた国際的な取り組みに反するロビー活動を停止するようトヨタに求めている。

このうち、デンマークの年金基金アカデミカ―ペンションのJens Munch Holst最高経営責任者(CEO)はロイターに対し、「今回の(トヨタの)動きは宣伝活動で終わってはいけない。気候変動に対するネガティブなロビー活動に、明確に終止符を打つものでなければならない」と語った。

同基金の広報担当者、Troels Børrild氏によると、トヨタとは第三者を通じ、10年にわたってコミュニケーションを取ってきた。今は「直接的で集中的なコミュニケーションで(要求を)強めている」という。トヨタが約束を実行できなかった場合、来年の株主総会に提出する株主決議を準備するとしている。

HolstCEOはロイターに対し、「これまでトヨタは、英国政府が2030年までに内燃機関の使用を禁止することに反対したり、米国での自動車燃費基準に反対したり、気候変動対策を繰り返し弱体化させてきた」と語った。

ロイターがトヨタに対し、HolstCEOのコメントに対する見解を求めたところ、少し時間を要すると回答した。

同基金のほか、英国国教会年金理事会とスウェーデン公的年金AP7、ノルウェーの金融機関ストアブランドもトヨタへの圧力を強めている。

(Aaron Sheldrick)