[ワシントン/バークリー 19日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラの乗用車が17日夜、米テキサス州ヒューストン近郊で木に衝突し、乗っていた男性2人が死亡した事故で、地元警察はテスラから事故車のデータを得るために20日に捜索令状を執行する。保安官が19日、ロイターに明らかにした。

同州ハリス郡のマーク・ハーマン保安官は、目撃者情報などによると、運転席が無人だったことは明白だと説明した。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は19日にツイッターで、これまでに回収されたデータによると運転支援システム「オートパイロット」は使用されていなかったと投稿しており、ハーマン氏はこの投稿が同社によって事故後初めてもたらされた情報だと述べた。

「マスク氏はデータを既に回収したようだが、われわれには何も報告がない。当該のデータを待ちわびている」とした。

米道路交通安全局(NHTSA)と米運輸安全委員会(NTSB)はこの衝突事故について調査していると発表した。NHTSAは「車の操作と事故後の火災に焦点を当てる」としている。

NHTSAが調査しているテスラ車の事故は今回で28件目となった。NHTSAは先月ロイターに、オートパイロットの使用と関連があると考えられるテスラ車の衝突事故について、27件の特別調査を開始したと明らかにした。このうち23件は調査が継続中という。

ハーマン氏によると、事故を起こしたのは2019年型「モデルS」で、ヒューストンの近くを高速走行中にカーブを曲がり切れず木に衝突し、車体が炎上した。消火後に当局が車内から2人を発見。1人は助手席、もう1人は後部座席から発見された。

同氏は車に乗っていた2人が運転手なしの走行を試し、完全自動運転が可能だと友人に見せようとしていたとの情報があると明かした。

<マスク氏、自動運転システムの問題を否定>

マスク氏は「これまでに回収されたデータ記録によると、オートパイロットは有効になっていなかった。この車両はFSD(完全自動運転機能)も購入していなかった」とツイートし、FSDのソフトに問題があったとの見方を退けた。

FSDは半自動運転支援機能で、運転手が見守る必要がある。オートパイロットの使用時についても、テスラは運転手がハンドルを握り、注意を払うよう呼び掛けている。

マスク氏はまた、標準型のオートパイロットは車線境界線を検知する必要があるが、事故現場に境界線はなかったとした。

テスラは車両から「一定の間隔」で送られてくる操作データや診断データにアクセスすることが可能で、警察はデータの提出を要求できる。今回の事故では車両の損傷が激しく、搭載されているレコーダーから捜査官が直接データを取り出せるかどうかは不明。

米国では16年以降に、オートパイロット作動中のテスラ車が少なくとも3件の死者を伴う衝突事故を起こしており、オートパイロットに対する監視が強まっている。

民主党のブルーメンソール上院議員はツイッターに「テスラなどの無人運転システムを使用することが死のリスクになるべきではない。運転技術の進歩は何よりもまず安全でなければならない」と投稿した。

*システムの都合で再送します。