【解説】日本企業が、高級ブランドから学べること
コメント
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個人的に感じることを書きます。
・日本では、顧客を具体的にしてターゲットを絞ってビジネスをやるってことが一部企業しかできていなかった(というかしていなかった)歴史的な経緯がある、と思ってます。
・それは、マスマーケットで大量生産、大量消費にのって成長する、という流れで成長した企業が目立ち、その成功体験に基づくやり方が続いたから、だと思っています。
・でも、その勝負で中国や韓国の企業に勝てなくなり、高付加価値にシフトする文脈ができ、多くの企業が試行錯誤してるのが、この10年〜20年くらい、だと思います。
・正直、はじめから、高付加価値をコンセプトにしてる場合は、いいのですが、上記流れから、無理矢理、高付加価値にシフトしようとすると、それまでと整合しない文脈もあり、うまくいかない(例:高付加価値の場合、そんなすぐにはスケールしないので、それまでの大量生産のビジネス判断基準でみると小さくて時間がかかり非効率に見える)ことが最大の問題だと思っています。
・別ブランドにする、とか理屈こねるのはカンタンですが、歴史重ねたブランドと対峙して勝負できる現実はまれだと考えます。(これは商品や業界の特性や歴史によって傾向がかなり異なり、一概に語れないとも思っています。)
・結果、機能面で高付加価値をうたう方向が強く、ブランドの情緒的価値をうまくのっけるのは難しいのが現実だと思っています。
・まず、社内のこれまでのビジネス意思決定の論理から切り離して考えられるようにすること、そして、やりすぎでは?と思うくらい富裕層顧客を具体化してターゲットを絞り、顧客の生活や価値観を深く知り、ひとりひとり落としていくくらいの感覚でビジネスを展開し、長くコツコツ続けていく、ようにすることが必要、だと考えます。
注目のコメント
シャネル日本法人代表のリシャール・コラスさんが大好きで何度も講演やセミナーを聞いた。
コラスさんがいう日本の価値は
・静かに音を立てずにカチッとしまる日本車のドア
・飲食店で出されるお冷、水滴が手につかないように巻かれたペーパー
さりげなくも利他、おもてなしの精神に基づく細やかに性能やサービスでありそれらが日本の競争力、ニューラグジュアリーと。ラグジュアリーとは人の心に宿るものであり価格帯や粗利率ではない、と。
どちらかと言えばLVよりリシュモン傘下のブランドの戦略に近いのだろうが目指すよりは、上記の日本の価値で勝負したい。ウェブメディア業界にいて感じていることと、杉本さんの解説が重なり、非常に腑に落ちるインタビューでした。
ウェブメディアも、読者層の拡大を目指してPVを稼ごうとすると、読まれやすいタイトル、切り口ばかりになり、そのメディアや記者の独自性が犠牲になることが多いと感じます。
そうして読者のクリック争奪戦が激化すると、どんどんメディアの内容やカラーが似てきてしまいます。こうしたリスクを回避しなければ、と考える日々です。
メディアで「アメリカが一番進んでいる」という前提の話ばかり報じられるのも、望ましいことではないなと思いました。
私自身、規模の経済を活用する大企業ばかり取材してきましたが、もっと多様な企業、戦略をお伝えしていかなければ、と反省にもなったインタビューでした。欧州好きで以前欧州に住んでいたりグローバル企業で働いていたのですが、本当に日本には他と「違う」からこその価値を、日本の外に住んでいる方々は感じてくれていると感じています。
日本は古くは職人文化が根差していたように思います。秀でた技術と才能を持った職人が素晴らしいものを作って、その技術が人づてに継承されていく。
それが戦後、国際的な競争力を取り戻すために一気に欧米に追いつくために、産業化を進めてきた。それは日本がリードした生産効率の向上だったと思います。トヨタのカンバン方式、ファナックやキーエンスなどに代表される工場の自動化、つまりファクトリーオートメーションです。
これが物凄い得意だったからこそ、バブル前は世界を席巻する原動力であった。そこで失われたものが、職人気質で「非効率」だが価値のあるものを価値があると自信を持って言えないくなってしまった。効率性が最も重要で、規模や効率性でリターンを上げるゲームが物凄い勢いで日本の経営者に刷り込まれていった。ダイエーなどがその際たる例。
技術や生産主導の経営マインドが、ブランド価値や人材への投資を遅らせてきた。それが日本が失ってしまったものの一つだと思う。
ただ、私は全く悲観はしてはいません(前向きなのでw)。今、インターネットやSNSの浸透によりまた新たなブランドストーリーやマーケティングの手法が当たり前になってきた。この部分で日本が世界一になれなくてもしっかりと取り込むだけで十分で、それでよいコンテンツが輝く世界に回帰できる。
日本の職人気質を取り戻し、職人気質と効率性を両立させながら、新しいマーケティング手法をしっかり取り込めれれば、日本の差別化されたブランドをベースにしたコンテンツ(有形無形両方)が、再び世界を席巻する時代が到来すると期待しています。