(ブルームバーグ): 仮想通貨交換業者コインベース・グローバルの先週の株式上場を前に暗号資産の価格を最高値に押し上げた熱狂的ブームは週末に内向きに転じ、ビットコインは2月以来最大の下げを記録した。

仮想通貨最大手のビットコインは6万4870ドルの最高値を付けてから数日後の18日、一時15%下落した。その後下げ幅を縮小し、日本時間19日午後1時25分現在は5万7000ドル前後で推移している。同2位のイーサは週末に2000ドルを割り込んだ後、下げ渋った。バイナンス・コインやXRP、カルダノも下落した。一方、コインゲッコーによれば、ドージコインは逆行高となり、24時間で25%値上がりした。

コインベースの14日の直接上場を前に全ての仮想通貨の時価総額合計は2兆2500億ドル(約245兆円)を超えていた。コインベースの時価総額は680億ドルと、ニューヨーク証券取引所の親会社の時価総額も上回った。

ギャラクシー・デジタル・ホールディングスの創業者マイケル・ノボグラーツ氏は18日、「今になって考えれば、こうした状況は避けられなかった」とツイート。「市場はコインベースの直接上場に興奮しすぎていた。ビットコインSVやXRPなども活況となっていた。全ては市場が一方的になりすぎていたサインだった」と指摘した。

18日には、米財務省がデジタル資産経由のマネーロンダリング(資金洗浄)を取り締まる恐れがあるとの懸念に関連して仮想通貨が急落したとのオンライン報道もあった。米財務省の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)は同日に電子メールで、「調査の可能性については、調査の有無を含めてコメントしない」との立場を示した。

仮想通貨融資会社NEXO(ネクソ)の共同創業者アントニ・トレンチェフ氏は、「ドージコインが16日に2倍に上昇したのは、先週のビットコインの最高値更新やコインベースの上場の後の『ピーク・パーティー』だった。高揚感が広がっていた。仮想通貨の世界では通常、そうした状況になると支払うべき代償がある」と述べた。

トレンチェフ氏は、米財務省による取り締まりという「根拠のない」報道に加えて、下落要因には「過剰なレバレッジやコインベースのインサイダーによる直接上場後の株式売却、中国の新疆ウイグル自治区で起きた大規模停電によるビットコイン採掘者への打撃」が含まれる可能性があると指摘した。

原題:Coinbase Hangover Rattles Crypto Assets With Bitcoin Falling (3)(抜粋)

(価格を更新し、下落理由に関するトレンチェフ氏のコメントを追加します)

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