2021/4/18

【効果大】就職できなければ無料。「職業訓練」の新モデル

INDEX
  • 「年収34%アップ」の実績
  • バイデン政権の雇用計画の「柱」
  • 「恩返し」ではなく「恩送り」
  • ビル・ゲイツらが出資
  • 「需要のある仕事」にフォーカス
  • 1年で受講者数が4倍に

「年収34%アップ」の実績

昨年、ビル・バーバーはフェイスブックで、アメリカン・ディーゼル・トレーニング・センターの広告を見つけた。ディーゼル整備士になるための教育が受けられる、オハイオ州内の専門学校だ。
その広告には、普通は見られない宣伝文句がついていた。受講終了後、仕事に就くことができた場合のみ、受講費を払えばいいという。ソーシャル・ファイナンスというNPO(非営利団体)が支援しているからだ。
この情報が詐欺などではないことを確認した後、バーバーは申し込みをした。5週間の集中的なプログラムを受講したのち、彼は年収3万9000ドルの仕事に就くことができた。ケーブルテレビ取り付けの仕事で稼いでいたときよりも、1万ドルほど多い年収だ。
23歳のバーバーは、「こんなチャンスはほかにないと思いました」と話す。
Brian Kaiser/The New York Times
アメリカン・ディーゼル・トレーニングは、生徒が雇用されたかどうかによってプログラムの受講費が変わるという、職業訓練の新たなモデルを採用している。
これまでの成果は良好だ。同プログラムの卒業生の平均年収は3万6500ドル。プログラムを受講する前に比べて、平均で1万2400ドルアップしたという。
専門家らは、生徒の数によって受講費が決まる従来型のモデルと比べて、この新たなモデルのほうがずっと理にかなっていると言う。
今のところ、低所得のアメリカ人がよりよい仕事に就けるよう訓練するプログラムで、こうした「成果連動型」のものはわずかしかない。生徒と学校、雇用者のすべてにメリットが生じる形で、資金とインセンティブを調整することが難しいからだ。
しかし、ソーシャル・ファイナンスはこうしたやり方が拡大可能であることを示しつつある。

バイデン政権の雇用計画の「柱」