[ロンドン 15日 ロイター] - 環境・社会・ガバナンス(ESG)問題改善に役立つ要件を十分に備えたプロジェクトや企業を選び、投資しているファンドへの需要が、近年になって急増している。

これらのファンドの多くが手掛ける案件は「倫理的投資」ないし「インパクト投資」といった言葉でくくられるが、実際にそれはどういう意味を持つのか。

以下で詳しく解説した。

◎持続可能/責任投資

世界的な用語に関する合意がまだ形成されていない中で、この2つの表現は、ファンドマネジャーが資産売買に先立ってESG問題に関して考慮する投資手法に対して使われることが多い。

長い目でみて当該企業が社会的および環境的に持続可能な形で事業を展開していることを確認するため、気候変動対応や取締役会の多様性、過去の森林伐採記録などに目を向ける可能性があるということだ。ファンド側が懸念事項に関して企業の経営陣に影響力を行使することを検討しながら、資産を運用する意味合いもある。

◎ESGインテグレーション

ESGインテグレーションは、特定の持続可能性目標を持たないファンドを含めて最も普及している手続き。ファンドマネジャーがリスク管理とリターンの向上のために実行する投資分析の一環として、ESG関連要素をシステマチックに考慮する。

◎倫理的投資

特定の銘柄やセクターを明示して排除する投資戦略の1つ。一般的には、性風俗や武器、ギャンブル、アルコール、たばこといったいわゆる「罪ある株式(sin stock)」を避けることを意味する。倫理的投資ファンドは、環境的な、あるいは宗教的な、あるいは政治的価値観に従って、個々人が投資できるようにするファンドでもある。

◎インパクト投資

理論的に考えれば、あらゆる種類の投資は良くも悪くも「インパクト」を持つが、この言葉を冠せられるファンドは、投資によって社会的な好影響を与えることを目指す。例えば、金銭的リターンを伴うプロジェクトへの投資を通じて、途上国の識字率向上や医療状況改善につなげる。

◎ベスト・イン・クラス

この表現が示す通り、ESG関連問題でパフォーマンスが最も高い企業を選んで投資することだ。石油やガスなど、たとえそのセクター自体の持続可能性が低い場合でも、ベスト・イン・クラスの企業は投資先に入る。

「倫理的」投資の場合、当該セクターを完全に引き払うと、同セクターの価値が高騰した場合に収益機会を逃しかねない。しかし、ベスト・イン・クラス投資なら、そうした収益機会を得る選択肢が残る。

◎ポジティブ・スクリーニング

インデックス連動型ファンドでしばしば使われる言葉で、ある指数の中で温室効果排出量などのESG基準に照らして成績が良い企業の株式をより多く購入し、成績が悪い企業の株式保有を減らすこと。

◎投資先との対話

スチュワードシップという言葉は、ファンドマネジャーが顧客から預かった資金を長期的に持続可能な価値を生み出す方向で運用する責任を意味する。その1つとして、投資先企業の経営陣との対話(エンゲージメント)を通じて、ESG問題への取り組み強化を求める方法が挙げられる。

◎議決権委任投票

こうした提言だけで効果が不十分な場合、ファンドマネジャーは株主投票を駆使することができる。企業の株主は誰でも、年次総会で取締役の陣容や彼らの報酬計画を承認するかどうかなど、さまざまな議案に投票する権利を有している。

多くの人が投資先企業の株主の権利を共有する投資信託では、ファンドマネジャーないし運用会社が、個々の株主の代理として投票行動を決める。