2021/4/18

【船橋洋一】「危機に弱い日本」はずっと変わっていない

NewsPicks編集部
福島第一原発事故後の経緯を最も克明に描いた作品の一つが、船橋洋一氏の『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』だ。
船橋氏は本書の中で、現場で奮闘する技術者とは裏腹に、機能不全に陥った政府中枢の様子を記述し、事故当時の意思決定プロセスの問題点を検証している。
そんな船橋氏は「日本の弱点は、戦時中も今もさほど変わっていない」と述べる。
失敗の本質』(野中郁次郎ほか著)、『昭和16年夏の敗戦』(猪瀬直樹著)などで示された、太平洋戦争時の日本の構造的問題点は、フクシマ、そしてコロナへの対応にも見られているという。
通底して変わらない、日本の弱点とは何か。なぜそれは、一向に改善されないのか。今後行うべきことは何か。1万字のロングインタビューを掲載する。
INDEX
  • その日、保安院の検査官は逃げた
  • もはや平時と有事の「切れ目」はない
  • ワクチン敗戦で「先進国から脱落」
  • 負けるケースは考えない「楽観主義」
  • 全体を司る将軍の不在
  • 「総合調整」は機能しない
  • 攻めだけを考え、守りを軽んじる
  • 日本の発想は「いま=ここ=モノ」
  • 行動しないリスクへの想像力
  • 危機のリーダーシップは発揮されたのか
  • 検証なしに組織が解体されていく
  • データ・エビデンス・ソフト・パワー

その日、保安院の検査官は逃げた