2021/4/17

【核心】ゴールなき廃炉計画。誰も知らない「完了後」の姿

NewsPicks 副編集長 / 科学ジャーナリスト
日本のみならず世界を震撼させた東京電力福島第1原発事故から10年がたった。
事故現場では、全6基の廃炉に向けて日々約4000人が作業に従事する。
敷地内の放射線量低下などの進展もみられる一方、当初の工程表からの遅れも目立つ。最大のハードルとされる溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の回収は、着手にも至っていない。
最も本質的で重要な課題は、廃炉計画の「ゴール」を、誰一人として知らないことだろう。国や東電は「2041〜51年に完了する」とうたっているが、実は「完了後の姿」を決めていない。
専門家集団の試算では、その姿や進め方によって、かかる年数や出てくる放射性廃棄物の量に大幅な違いが出るという。
ゴールなき巨大プロジェクトの実態と課題を探った。
INDEX
  • 3基でメルトダウン
  • 遅れる工程
  • 増え続ける汚染処理水
  • 推定される事故の進展状況
  • 「切り株燃料」による再臨界の懸念
  • 「試験的取り出し」は1グラム
  • 誰も知らない「廃炉完了後」の姿
  • 4つのシナリオが示す廃炉への道筋
  • 「デブリ取り出しは不可能だ」
  • 地元だけの問題ではない