ペットボトル型ビールで「宅飲み」変える 埼玉の企業が開発

ペットボトルに生ビールを注ぐグリーンエージェントの従業員=14日午前、埼玉県上尾市(竹之内秀介撮影)
ペットボトルに生ビールを注ぐグリーンエージェントの従業員=14日午前、埼玉県上尾市(竹之内秀介撮影)

 居酒屋で飲むような新鮮な生ビールを自宅でも楽しみたい-。そんな左党をターゲットに据えた「ペットボトル入り生ビール」を埼玉県上尾市の企業が開発した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外食が敬遠される中、担当者は「『宅飲み』の形を変える商品として根付かせたい」と意気込んでいる。

 ペットボトル入り生ビールは、食品や家電の輸出入を手掛ける「グリーンエージェント」が企画、発売した。酸素が入り込むことによるビールの品質劣化を避けるために、ロシアから輸入した特別な充填(じゅうてん)機でペットボトルに炭酸ガスを注入、酸素を追い出してからビールを注ぐ。注入から約1カ月間は味わいや炭酸の清涼感が変わらないという。

 マネジャーの西堂晃進(あきのぶ)さん(33)によると、アメリカやロシアではビールの持ち帰りが流行しており、日本でも需要を見込めると判断、令和元年に事業化の準備を始めた。昨年12月の発売開始以来、これまでに約1万5千本を売り上げた。

 ただ、商品化までの道のりは平坦(へいたん)ではなかった。

 そもそも、ビールの容器としてペットボトルが使われてこなかったのは、表面のわずかな隙間が酸素を通してしまうという欠点があったからだ。西堂さんらは複数のメーカーからさまざまな形状のペットボトルを取り寄せて試行錯誤したが、多くの容器は注入から2、3日で味わいが薄れてしまった。

 ところが、国内のあるメーカーが酸素の侵入を遮断する特殊な加工を施したペットボトルの開発に成功していたことが分かり、試してみると瓶に近い保存性が確認できたという。

 「たるから出したての生感は、缶や瓶を上回ると自負している」と西堂さん。500ミリリットル入り1本の販売価格は850円(税抜き)で、グリーンエージェントの直営店やインターネット通販で購入できる。

(竹之内秀介)

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