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[14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は14日に公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、消費者信頼感の改善を背景に春にかけて景気回復が加速したとの認識を示した。パウエルFRB議長はインタビューで、成長と雇用がさらに拡大する見通しだと述べた。

ベージュブックは、新型コロナウイルスワクチンの普及や政府の財政支援を追い風に国内経済の回復が2月下旬から4月にかけ、「緩やか(moderate)なペース」に加速したとした。

仕事に再び就く人が増える中、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)によって大打撃を受けた労働市場も改善。雇用の伸びは製造業や建設業、娯楽・接客業で最も加速した。

ベージュブックでは「娯楽や旅行の需要の伸びが加速し、観光に関する報告も前向きだった。調査先は需要増加の要因として春休みやコロナに伴う封鎖措置の緩和、ワクチン接種の進展、最近の給付金などを挙げた」と指摘。前回3月の報告以降、全般的に見通しの楽観度合いが強まったとした。

大半の地区が成長のペースは緩やかだったとする中、ニューヨーク地区は経済が「パンデミックの期間で初めて力強いペースで伸び、広範な産業が拡大した」と指摘。コロナ感染が増えたにもかかわらず景気が改善し、「調査先は短期的な見通しについてますます楽観的になっている」とした。

<賃金が焦点に>

パウエル議長は今週、米経済は「転換点」にあり、ワクチン普及や大規模な財政刺激策により今後数カ月で景気や雇用の拡大ペースが加速する可能性があるとの見解を示した。

14日のワシントン経済クラブのインタビューでも、同様の楽観的な見通しを改めて示した。

パウエル氏は「成長が加速し雇用創出も拡大する局面に入る見通しだ」と述べた。その上で「リスクはなお残っている。特に主要なリスクとなるのは、治療がより困難とされる変異ウイルスによる感染の再拡大だ」と指摘した。

米労働省が2日に発表した雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比91万6000人増と、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。また、労働省が13日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は8年半ぶりの大幅な伸びを示した。

多くの地区連銀の調査先がコストへの圧迫が強まっていると指摘し、主な要因としてサプライチェーン(供給網)のボトルネックを挙げた。少なくとも短期的にはこうした状況が続く可能性が高いという。

こうした中、パウエル議長やその他のFRB当局者は、明るい経済見通しや一時的な物価上昇の加速が金融政策に影響することはないと述べ、危機が終わるまで緩和的な金融政策を維持すると強調している。米国の雇用は依然としてコロナ前の水準を840万人も下回っている。

3月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、最大雇用と物価安定のFRBの目標に向け「さらに著しく進展がある」まで政策金利をゼロ近辺に維持し、月に1200億ドルの債券を買い入れることを決めた。次回会合は2週間後に予定されている。

ベージュブックでは、経済再開に伴い各社の戦略も浮き彫りになった。クリーブランド地区の人材紹介企業は、就職希望者の最優先事項が初めて「給与」となり、「職種」を超えたと報告。ミネアポリス地区では、ワクチン接種を終えた就職希望者が急増することを見越し、雇用主が賃上げを保留している可能性が示唆された。同連銀は「多くの労働者が戻ってくる可能性がある中で、今賃上げする必要はあるだろうか」と指摘した。

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