[シンガポール 13日 ロイター] - 東南アジア最大の配車サービス企業グラブ・ホールディングスは13日、上場に向けて米特別買収目的会社(SPAC)アルティメーター・グロースとの合併で合意した。

グラブの企業価値は約396億ドルとなり、SPACとの合併としては過去最大規模。

合意には、ブラックロック、フィデリティ・インターナショナル、ジャナス・ヘンダーソン、シンガポールの政府系投資機関テマセク・ホールディングスなどの投資家を引き受け先とする40億ドル超のPIPE(上場企業の私募増資)が含まれる。

グラブにはソフトバンクグループや中国の配車アプリ大手、滴滴出行(ディディ)などが出資している。

グラブは、2020年の業績が新型コロナウイルスのパンデミックにもかかわらず良好だったことから上場を目指す決断をしたと説明した。

ロイターは、複数の関係者の話として、グラブのSPACとの合併が早ければ13日にも発表されると伝えていた。

グラブは2012年に米ハーバード大経営大学院出身のアンソニー・タン氏とタン・フイリン氏がマレーシアでアプリを使った配車サービスとして事業を開始した。東南アジア8カ国400以上の都市で事業を展開し、域内で最も価値のあるスタートアップとされる。

多額の資金を投じてサービスを現地向けにローカライズし、成長が見込める新規分野への参入でシェアを拡大する戦略を進めるが、今回の上場はそれを裏付けるものになる。

タン氏は米国市場を上場先として選んだ理由について「流動性が高く規模も大きく、世界的な企業や投資家が集まり、層の厚い市場であることが重要だった」と述べている。

20年の純売上高は70%増加したが、まだ黒字化していない。新型コロナ禍で料理・食事の宅配サービスが伸び、最大事業となった。

20年の調整後純売上高は16億ドル。23年には45億ドルに引き上げ、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で黒字転換する計画。

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