(ブルームバーグ): 東芝に対する英投資会社のCVCキャピタル・パートナーズの買収提案に関連して、東芝株主で香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントが東芝取締役会宛てにCVCの提案価格が安過ぎるとする書簡を送付したことが13日、分かった。

東芝幹部が匿名を条件に明らかにしたところによると、CVCの提案価格は1株当たり約5000円。買収が報じられる前の6日の株価終値3830円との比較では31%のプレミアムが上乗せされていることになる。

これに対し、オアシスは「報道されている買収提案価格の5000円は安過ぎる」とし、1株当たり6200円以上が妥当との見解を示した。ブルームバーグは東芝の取締役会議長を務める永山治氏宛てに12日付で出された書簡を入手した。

また、書簡で、オアシス創業者で最高投資責任者(CIO)のセス・フィッシャー氏は、取締役会に対し「東芝に興味を持っている潜在的な買い手のためにも、今回の買収提案の検討手続きを開かれた公正なものにしてほしい」と要求。具体的には、特別委員会の設置や、競合するプライベートエクイティー(PE)ファンドや事業会社などから対抗提案を募集することなどを求めた。

東芝広報担当の外間京氏は「個別事案についてはコメントを控える」と述べた。CVCの広報担当者はコメントを控えた。

別の株主であるファラロン・キャピタルも12日、CVCの買収提案について、東芝の取締役会に対し、公正な手続きによって「株式非公開化の提案を真摯(しんし)に検討し、中長期的な企業価値の最大化を実現する責務がある」と注文を付けている。ファラロンは3月の臨時株主総会で東芝の中期経営計画の内容をただす株主提案を行い、否決されている。

オアシスの提案が伝わると東芝株価は急上昇し、一時前日比2.8%高の4655円まで買われた。

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