イスラム教 “ラマダン”入り 各国がコロナ感染へ警戒強める

イスラム教徒が日中の飲食を断つラマダンが13日から中東などの多くの国で始まります。

ラマダン期間中は、多くの人出が予想され、各国はモスクでの礼拝や日没後の食事の集いを制限するなど新型コロナウイルスの感染拡大への警戒を強めています。

ラマダンは、およそ1か月にわたって日中の飲食を断つことで知られるイスラム教の重要な宗教行事で、中東などの多くの国で13日から始まります。

例年は、モスクでの礼拝や日没後の食事に多くの人が集まりますが、各国では礼拝や飲食店を利用できる人数が制限されるなど、ことしも新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための措置がとられています。

このうちUAE=アラブ首長国連邦のドバイにあるモスクでは、ラマダン入り前の12日夜、特別な礼拝が男性のみ30分間だけ認められました。

モスクを訪れた男性は「制限がある中でもラマダンの礼拝ができてよかったです。世界中で広がるコロナウイルスの感染が終息に向かうよう神に祈りました」と話していました。
このモスクでは感染を警戒して礼拝に来られない人に向けてインターネットでも礼拝の様子をライブで配信していました。

中東では感染が拡大傾向にある国も多く、ラマダン期間中は、人出が増えるだけに、各国は感染拡大への警戒を強めています。

トルコでは去年に続きモスクでの礼拝が禁止に

一方、中東のトルコでは、変異した新型コロナウイルスの感染が急速に拡大しているため、去年に続いてモスクでの礼拝が禁止されました。

イスタンブールに住むシリア難民のムハンマド・ムネムさんはラマダン入り前の12日夜は自宅で家族だけで静かに礼拝を行いました。

母国のシリアの混乱が10年をすぎてもおさまらず、コロナ禍で現在、失業しているムネムさんにとってラマダンはイスラム教徒の連帯感を感じて心が慰められる機会だったと言います。

しかし、モスクでの礼拝に加え、日没後の集団での食事も禁じられ、ムネムさんは「日没後の食事をみんなでとり、親戚や友人と時間を過ごす、ふだんのラマダンとは違い、大切なものが欠けていると感じます」と話していました。

トルコでは12日、1日の感染者が5万4000人を超え、そのおよそ85%が変異した新型コロナウイルスに感染しているということで、政府が近く、ラマダン期間中の商業活動や外出をさらに制限する可能性が取り沙汰されています。