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ところが高齢化が進むと、人数の少ない若手の賃金を多少削っても、人数の多い高齢者に厚めに払うと、生産性と比べ総人件費が高くなり過ぎます。高齢化の進展とともに企業が賃金を下げて行った背景には、こうした構図があるのです。定年が伸びて窓際の高齢者が増えると、この構図が強まります。
終身雇用のもと、会社に命じられるがまま働いて尖ったスキルを持たないまま高齢になった多くの社員は変化の激しい時代についていけず、生産効率が落ちるのが一般的。JOB型雇用の掛け声のもと、人事の仕組みを変える会社が多くありますが、多くの場合、秘められた目的は中堅から高齢にかけての賃金カーブをフラットにして、高齢者の賃金を引き下げることにあるのです。早期退職金を得て早めに退職しても、定年まで働いても、生涯賃金はさして変わらないといった工夫も織り込まれています。当然、多くの人の賃金は下がります。
その一方、円安が進めば資源を輸入に頼る我が国の物価は必然的に上がります。かくして国民の生活は苦しくなって行く・・・ (* *)
が、それにしても名目賃金が上がらなくなっているのは事実で、これに係る議論は何十年も同じことが繰り返しなされてきました。ようやく、この10年弱で「ひょっとして円安にするだけでは駄目なのか?」という社会規範が出来始めたのは進歩だと思います。アベノミクスの皮肉な成果です。
生産力は生産性と労働力の積であるから、単純に生産性が低いということで、労働力人口が増えればその分生産性が低下して相殺するというロジックになる。
やはり、労働力の受け皿となる「ビジネスの器」に問題があるわけであり、「一億総活躍社会」に適合した生産力の源泉を規制改革や開廃業率引き上げで底上げすべきである。
特にコロナ後はワクチン接種が進む欧米中心に世界経済が回復し、世界的にはディマンドプルインフレになるかもしれませんが、日本や途上国みたくワクチン接種が遅れる国では、輸入品の値上げでコストプッシュになりやすくなるでしょう。
生産性の観点から、投入社員数が比較多いのは、事実かもしれませんが、働き方働かせ方の問題かも知れません。そもそも、雇用は、企業の最も大事な社会的責任という視点が欠落している点は許容できません。
ジョブ型や、労働力の流動化の観念論を展開されるのは結構ですが、経済や経営のための社会ではないし、人間のための社会という視点なしの論評は、不快ですね。