[12日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は12日、財政政策と金融政策に後押しされ今年の米経済は大きく回復するとの見通しを示した。ただ労働市場にはまだ大きな回復の余地があると述べた。

ローゼングレン総裁は「労働市場のスラック(需給の緩み)はまだ大きく、インフレはなお連邦準備理事会(FRB)の目標を下回っている。このため、現在の極めて緩和的な金融政策スタンスは適切だと考えている」と述べた。

その上で、新型コロナウイルスワクチン接種で変異株の感染拡大を食い止めることも重要とし、「変異株による感染拡大が特に問題化しなければ、リセッション(景気後退)後の異例に力強い回復がみられる」と予想。失業率は向こう2年以内にコロナ禍前の4%近辺に戻る可能性があると述べた。

ただ、昨年に採用された新たな枠組みの下でFRBはインフレが顕在化するまで忍耐強く待ち、金利をゼロ%近辺にとどめると語った。

また、政策担当者は金融市場で台頭する恐れのあるリスクにも留意する必要があると指摘。昨年マネー・マーケット・ファンド(MMF)が流動性問題に直面したことを引き合いに出し、一部のファンドに政府が後ろ盾する債券に投資を増加させるよう要請することが対応策の一つになる可能性があるとし、「景気回復の過程では、金融安定リスクの排除にも丹念に対応する必要がある」と述べた。