[東京 12日 ロイター] - 日銀が12日に発表した3月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比プラス1.0%となり、13カ月ぶりに上昇した。ロイターがまとめた市場予想(プラス0.5%)も上回った。前年比プラスとなったものの、コロナ前の水準を回復したと判断するのは早計だという。

前年比の上昇幅は2020年1月以来の大きさ。電力・都市ガス・水道、プラスチック製品などがマイナス方向に寄与したものの、非鉄金属、石油・石炭製品、スクラップ類などがプラスに寄与し、指数全体を押し上げた。国内の需要動向を比較的反映しやすい鉄鋼や木材・木製品も緩やかながら回復している。

744品目中、前年比で上昇したのは307品目、下落したのは333品目。下落が上昇を26品目上回った。下落品目数が上昇品目数を上回っている状況を踏まえると、「完全にコロナ前の水準に戻ったというのはまだ早い」(日銀の担当者)という。

前月比ではプラス0.8%と4カ月連続のプラス。石油・石炭製品、非鉄金属、化学製品などが押し上げに寄与した。最もプラスに寄与した石油・石炭製品は、2月中旬から3月にかけての原油市況がサウジアラビアの自主的な追加減産の継続や米国経済の回復などを背景に上昇したことを受けて値上がりした。

日銀の担当者は「価格上昇の裾野が広がっている様子がみられたが、主な押し上げ寄与は原油や非鉄金属などの国際市況上昇からきている。国内の需要がものすごく強まっているというより、米中経済の回復にけん引されている側面が強い」とコメントした。

*日銀の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

http://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release