[11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米経済は成長率や企業の採用ペースが向こう数カ月で加速すると見込まれる一方で、拙速な経済再開が新型コロナウイルス感染再拡大につながるリスクもあるという「転換点」に立っているとの認識を示した。

11日夜に放映されたCBSの番組「60ミニッツ」のインタビューで語った。パウエル氏は「リスクは実際に存在する。主要なリスクは拙速に経済を再開し、人々がかつての生活様式にあまりにも早く戻り、感染者が再び急増することだ」と述べた。

コロナワクチン接種によって、感染者が再び急増しても公衆衛生や経済への影響は過去の局面ほど厳しいものにならないとみられる。しかし、パウエル氏はコロナ感染拡大を抑制できなければ早期の景気回復は実現しないとの認識を示した。

「人々がソーシャルディスタンスとマスク着用を継続することが賢明となるだろう」と強調した。

パウエル氏は、基本シナリオでは今後数カ月に「非常に強い」雇用の伸びが想定されており、「最大雇用への急速な進展」が実現可能な範囲内にあると説明。

コロナで最も影響が大きかったサービス部門の低賃金労働者などは向こう数カ月で経済再開が広がる中、比較的早期に再雇用される可能性があるとした。

ただ、FRBは政策金利をゼロ近辺に据え置く政策と月額1200億ドルの債券買い入れを近い将来に変更するつもりはないと改めて表明。

景気回復がほぼ完了するまで景気支援を続けるつもりで、仕事復帰を目指す人々を支えると強調した。

インフレ率がFRBの2%の目標を適度に上回るのは容認するが、それ以上の加速は望まないとのFRBのスタンスにも言明。「われわれはインフレ率が2%を大きく上回り、(1970年代の)悪いインフレに戻ることは望んでいない」と語った。

*内容を追加しました。