2021/4/16

【定点観測】電池ウォーズは「この3年」で、どう変わったか?

NewsPicks副編集長
産業地図は、たった数年間で塗り替えられてしまうことがある。技術開発が猛スピードで行われる現代においては、なおのことだ。
EVのエネルギー源となる電池は、長らく日本のお家芸の一つとして語られてきた。
パナソニックのような電池メーカーから、材料を提供する企業まで、国内の技術を結集して、世界中に販路を築いてきた。
しかし、中国メーカーの台頭によって、日本の優位が崩れつつある。
コストだけでなく技術力でもキャッチアップし、今や中国国内だけで高水準の電池を作れるまでに成長しているのだ。
NewsPicksが3年前に「電池ウォーズ」と題して特集した際は、確かに日本メーカーはまだ世界の最先端だった。
では、今はどうか。
電池材料の中でも最も重要な正極材を手がける住友金属鉱山で、電池事業を束ねる阿部功氏を直撃した。
3年前に阿部氏に実施したインタビューと読み比べながら、日本の現在地を確認してほしい。
INDEX
  • 「EVシフト」が現実化
  • 電池コストは「3年で半減」
  • これから電池は「高くなる」
  • EVが「二極化」する理由
  • CATLに「浮気」はできない
  • 「中国」のレベルは、上がった
  • 電池にも「国の支援」を
  • 「全固体電池」と言うけれど

「EVシフト」が現実化

──3年前のインタビュー時も「EVの波が来ている」とおっしゃっていましたが、それが加速しています。
阿部 各国のCO2排出規制が、本格化してきた。それにより、特に欧州の自動車メーカーが本気でEVに取り組みだしたことが大きいと感じます。
ちょっと欧州勢は、煽りすぎじゃないか、フォルクスワーゲン(VW)さんの目標は、少し現実離れしているのかな、という気はしていますが。