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「世界の金融市場で高リスク資産が膨張している。その一因に既存の金融規制の枠組みの外にある影の銀行がカネあまりの中でリスクの高い取引を膨らませていることがある」とありますが、世界のノンバンクの資金規模はリーマンショック直前の100兆ドルから2019年の200兆ドルへと倍増しています(Global Monitoring Report on Non-Bank Financial Intermediation 2020)。コロナ禍で大規模な緩和が行われ2020年は更に拡大していることでしょう。
ノンバンクの資金量が前回継続的に銀行を超えたのは2003年から2007年で、米国で住宅バブルが膨らんだ時期と重なります。2008年のリーマンショックで一旦抑制されましたが2013年に日銀が異次元の量的緩和を始め2015年にECBが量的緩和に乗り出し、という環境の中、リーマンショック後に厳しい規制を受けた銀行に代わってノンバンクの資金量が再び膨らみ始め、今では銀行の1.3倍に達しています。それのみならず、トランプ大統領の元で米国の金融規制が緩和され、新型コロナウイルス禍の中で欧州等も規制を緩め、アルケゴス・キャピタル問題で垣間見たように伝統的な金融機関も比較的大きなリスクを取っているように感じます。
1980年に銀行の国際部門で始めて以来、1980年代初めの中南米の累積債務危機に始まって2008年のリーマンショックに至るまで何度か金融危機を目にして来ましたが、そこで得た教訓は“危機はある日突然やって来る”。何か変、と思っても、実際に危機が起きるまで、市場に参加する人々は簡単に流れを去ることが出来ません。記事にあるようなことが仮に将来危機を引き起こす可能性があるとしても、ここまで資金が世界に溢れてしまった以上、簡単に流れを変えることは難しそう。イエレン財務長官は、就任以前から、新しいドットフランク法を作って影の銀行を含む金融規制を強化する必要性を主張していらっしゃいましたけれど・・・ 。
過剰流動性が溢れているので、どこかの資産市場でバブルが発生するのは避けられないと思います。各国とも大規模な所得支援策を講じていますが、そのほとんどは支出されず、貯蓄に積み上がっている状況。消費好きの米国でさえ、現金給付の限界消費性向は0.5を下回っていると思います。つまり半分は支出されず、結果的に、残りの貯蓄分が資産市場に流れ込んでいる構図です。
中国企業の海外投資家向けドル建て社債のデフォルトリスクもくすぶっています。
ファミリーオフィスを影の銀行(シャドーバンク)と表現するのがミスリーディングなのは他の方のコメントに譲るとして、
記事中のグラフの中で注目しているのは、プライベートデットの急拡大と(記載ありませんが)それに伴う利回りの低下、コベナンツライトな案件の急増です。
プライベートデットファンドへの資金流入量の急増による競争激化が背景です。
エクイティと違ってアップサイドが(少量のワラント取得等除けば)決められた金利しかないデットにおいては、回収の確実性が勝負であり、それに直結するコベナンツや厳格な審査が生命線にも関わらずここが緩み続けている印象です。未上場投資におけるValuatoin高騰とは比較にならないくらい、非常に不健全でリスクの温床だと感じており、これからの参入はよほどの差別化がないと得策ではない(適正なリターンを生み出しずらい)と感じます。
低格付け社債の発行、仮想通貨への資金流入、SPACの上場など昨今の金融市場の動向についてまとめられています。