(ブルームバーグ): ソフトバンクグループ傘下の半導体設計会社、英アームの中国合弁企業の支配を巡る対立が激化している。同合弁企業の最高経営責任者(CEO)を留任させることを目的とした新たな訴訟が明らかになった。ソフトバンクGがアームをエヌビディアに売却する取り組みが一段と複雑になっている。

対立は約1年前に起きた。安謀科技(アーム・チャイナ)の取締役会が利益相反を理由にアレン・ウー(呉雄昴)CEOの解任を決議したものの、 同氏は辞任を拒否した。

現在も引き続きウー氏の支配下にあるアーム・チャイナは、同氏の後任に指名された上級幹部3人を相手取り訴訟を起こした。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。訴訟は解決に何年も要する可能性があり、ウー氏が引き続きトップにとどまる可能性を示唆している。これまで訴訟については報道されていなかった。

ウー氏はフィル・タン(唐效麒)共同CEOを含む幹部3人を解任したが、その後取締役会が3人を復職させた。新たな訴訟では、アーム・チャイナは会社の資産返還を求めて3人を提訴している。

アーム・チャイナは進行中の訴訟や和解交渉の可能性についてコメントを控えた。ただ、3人の幹部が同社に「重大な物質的損害」を及ぼし、正当な理由で解任されたと説明した。

タン氏にもコメントを求めたが返答はない。アームは係争中の法的問題についてはコメントしないとし、詳細な説明を差し控えた。

ソフトバンクGとエヌビディアも中国での問題についてコメントを控えた。

原題:Arm Battle With China CEO Escalates, Complicating SoftBank Sale(抜粋)

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