[ワシントン 8日 ロイター] - バイデン米大統領は8日、国内で続く銃乱射事件に対処するため、銃規制策を発表した。

自家製銃「ゴースト銃」の取り締まりや、射撃の際に銃口を安定させる「スタビライジングブレース」と呼ばれる装置の登録義務付けなどが柱。

さらに、アルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)に対し、国内の銃器の不法取引に関する年次報告の提示を求めるほか、危険と判断される人物から当局が銃器を一時的に没収することを可能とする「レッドフラッグ(危険信号)」法の各州での導入に向けた下地を整える計画。

バイデン大統領は、攻撃用武器の再禁止、銃器メーカーに対する訴訟の免除廃止、全国的なレッドフラッグ法の制定といった議会の支持が必要になるより野心的な目標も掲げた。

この日発表した対策は大統領令で法案ではない。ホワイトハウスは追加の措置を取るとしている。

バイデン大統領は銃の暴力を「疫病」と呼び、「制止しなくてはならない」と言明。「銃の危機、そして公衆衛生の危機に立ち向かうための一歩を踏み出した」と述べた。

銃規制支持派は政権の対策を歓迎する意向を表明した。銃規制団体ギフォーズのエグゼクティブディレクター、ピーター・アンブラー氏は「これは重要な一連の行動だ」とし、バイデン氏がさらなる行動を約束したことを称賛。「彼の発言の中で最も重要なのは、これが始まりに過ぎないという言葉だ」と語った。

司法省は30日以内にゴースト銃の規制案、60日以内にスタビライジングブレースに関する規制案を示す。

ガーランド司法長官は、最近の銃不法取引のパターンについて詳しく把握するため、刑事事件や捜査の分析方法も見直すとした。

一方、全米ライフル協会(NRA)は、政権の対策に反対する方針を表明。発表文書で「バイデン氏がきょう発表した提案は、法を順守する市民に合法的な所有物の放棄を強いる可能性があるほか、銃を没収する州の権限を拡大するものだ」と批判した。

ロイターなどの調査では、大方の米国民が銃を規制する法律の制定を支持していることが示されているが、議会では一連の銃規制法案の成立は見通せない状況となっている。

バイデン氏は「祈るのはもう十分だ。行動を起こすときが来た」と述べ、銃の展示会やオンラインでの購入に身元確認を義務付ける法案を可決するよう議会に求めた。

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