北京五輪の共同ボイコット「協議せず」 米政府
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ジェン・サキ(Jen Psaki)大統領報道官は記者会見で、「われわれは共同ボイコットを同盟国やパートナー国と協議したことはないし、現在協議もしていない」と言明した。事実、協議をしたことはないのだろう。この時点で北京五輪に参加するのかどうかを議論するのは外交的なマイナスになるし、国際政治が絡んでしまう。米国政府が協議していたら相手の国から漏れてしまっているはず。別の報道官がボイコットが選択肢のひとつであることを部内で話題にした程度のことを、におわせたあと、誤解が拡散したことを打ち消したのだろう。
ところで、政府関係者に対する質問には古今東西を問わず5つのパターンあり。
(1)質問者に誘導質問の意図がある場合。政府報道官、官房長官、閣僚などに質問して政府高官が口を滑らしたときは、特ダネになる。それを記事にするための質問。
(2)記者自身がその事案に詳しくないので、本当に知りたいと思い、質問をし回答を聞いて勉強しながら、記事になるかどうかを判断する場合。このような真面目な人もいるばず。
(3)回答する報道官、官房長官、政府高官が明らかに弁明の余地のない守勢に立っていることがわかっているときに、政府高官を追い詰めて「一本とる」機会にすることを意図した質問。記者会見場が「政府対マスコミ」の戦場となる。
(4)質問機会がなかった記者が、マイクの前に立つことで「質問する集団」のなかのひとりであることを示して実績を作る場合。あるいは、順番で質問者になったので質問する場合。この場合、核心を衝いた質問内容になることは少ない。
(5)相当、特定の分野に詳しい記者が、回答者の持っている知識のレベルと自分の知識のレベルを比較して確認したいと思う場合。このときは回答内容を受けて追加質問という展開はない。
といった「記者会見をめぐる政治学」を頭に置いて、いろいろな国の記者会見場での質問内容、政府関係者が受けたときの表情、驚きかた、平静を保つ姿を観察すれば、記者会見の中継はとても面白いものになる。国務省報道官は、協議したい…と未来形の発言だったと思います。サキ報道官の発言記事を読む限り「協議したことはないし、現在協議もしていない」と過去形と現在形。この状況から推察するに、世論やスポーツ団体などからの反発が強かったのではないでしょうか。スポーツに政治は持ち込まない、「モスクワの記憶」は、アメリカにも根強くあるのではないかと思います。
共同でボイコットを呼びかけることは、アメリカを取るか中国を取るかという踏み絵を踏ませることとなり、ボイコットに参加しない選択をする可能性もある。そうなると同盟国間に不要な軋轢を生み、アメリカの権威を損なう結果となる。