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[ワシントン 7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が7日に公表した3月16─17日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、経済は改善しているものの、FRBが見据える目標の達成には程遠いほか、新型コロナウイルスによるリスクが根強く、先行きはなお「極めて不確実」という認識で一致した。

議事要旨では、FRBが支援策の引き揚げを検討できるほど状況が改善するまで「しばらく時間がかかる」と指摘。メンバー数人は早ければ来年にも利上げが必要になり得るとの考えを示唆したものの、全般的に利上げに対する緊迫した雰囲気は広がらなかった。

労働市場は改善する一方、依然としてコロナ禍の影響を受けており、物価は持ち直すとしても来年には沈静化すると予想。最近の米国債利回りの上昇は「経済見通しの改善を反映したものと一般的に考えられる」とした。

事実上のゼロ金利と月額1200億ドルの債券購入という現在の政策が金融の安定性にリスクを及ぼし得るとみる向きは数名にとどまった。メンバーらは「概して、今後数カ月および中期的に力強い雇用の伸びが続くと予想」する一方、「FOMCの広範かつ包括的な目標である最大雇用の達成には程遠い」と指摘した。

また、基調的なインフレ圧力は依然として弱く、1月までの消費者物価指数(CPI)の伸びは2%を大幅に下回っていると認め、インフレ率が長期的に平均2%となり、長期的な期待インフレ率も同様の水準にしっかりと固定されるよう、しばらくの間は2%を適度に上回るインフレ率の達成を目指すとした。

こうした中、大規模な金融緩和をどのくらい維持するかを巡って、この日はFRB当局者から異なる意見が出された。

シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、年内に不快なインフレ高進が見られると予想されるものの、物価の伸びが再び2%を割り込まないよう注意すべきと主張。FRBは量的緩和の縮小を決定する前に目標に向けた進展を確認する必要があり「忍耐強くならなくてはならない」と語った。

FRBのブレイナード理事も、見通しが明るいとはいえ、雇用と物価の目標が確実に達成されるまで行動を起こさないというのがFRBの新たな姿勢だと指摘。今後数カ月間「成長や雇用、物価でかなり良い結果が期待できる」としながらも、実際にデータで確認する必要があり、現実問題としてコロナ禍の影響でなお何百万人もの雇用が失われている中で「道のりはまだ長い」と述べた。

一方、ダラス地区連銀のカプラン総裁は、低金利や資産購入が市場の行き過ぎた動きや不均衡を助長しかねないと警告。FRBはコロナ収束後、直ちに景気支援策の縮小に着手すべきとし、まずテーパリング(量的緩和の縮小)を実施し、来年には利上げに向かうほか、両方を同時に行うを選択肢もあり得ると訴えた。

ブラックロックの米州債券部長、ボブ・ミラー氏は、経済が継続的に進展していることと、危機を想定した政策を維持するというFRB独自の主張との間にあるギャップをFRBがこれ以上隠し通すことはできないと指摘。「緊急事態でないにもかかわらず、FRBは緊急時と同様のスタンスを維持しているが、改善の度合いを認めようとしない姿勢はますます困難になっているようにしか見えない」とし、おそらく6月の政策決定会合までにスタンス変更を余儀なくされる可能性があるという見方を示した。