(ブルームバーグ): ソフトバンクなど電気通信事業者21社は5日、NTTによるNTTドコモの完全子会社化を巡り、行政対応がゆがめられていなかったかどうか徹底的な真相究明を求める意見書を総務省に提出した。

発表資料によると、意見書ではNTTと総務省の関係で判明した事案などから行政の公正性に疑義が生じたと指摘。ドコモ子会社化の行政対応についても、総務省職員の国家公務員倫理法違反を受けて同省が3月に設置した「情報通信行政検証委員会」で真相究明を行うことを求めた。

さらに検証委での結果を踏まえ、3月に公表され、現在意見募集が行われている電気通信市場の「公正競争確保の在り方に関する検討会議」の報告書もあらためて議論すべきだと主張。これらが完了するまで、ドコモによるNTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアの子会社化など一連のグループ再編が一方的に進められることがないよう総務省に指導徹底を促した。

今回意見書を提出した21社にはソフトバンクのほか、KDDIや沖縄セルラー電話、LINEモバイルなども含まれる。

NTTは昨年9月、完全子会社を目的にドコモ株式の公開買い付け(TOB)開始を発表。TOB終了後の同12月に総務省は公正競争確保の在り方に関する検討会議を設置し、必要な方策を検討してきたが、報告書ではNTT澤田純社長らによる総務省幹部や国会議員との高額会食問題は考慮されていない。

一連の会食問題は3月に明らかになり、武田良太総務相は倫理規定に違反した谷脇康彦審議官を更迭。NTTの澤田社長も複数回にわたり、参考人として国会に呼ばれた。澤田社長は、会食は意見交換の機会であり、業務上の要請や便宜を図るような依頼などはなかったと弁明した。

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