「相模国分寺跡」の国史跡指定100年 海老名で記念展

再現された相模国分寺の七重塔や回廊=動画から

 相模国分寺跡(海老名市国分南1丁目)が1921(大正10)年に、他の7カ所の国分寺跡とともに全国初の国の史跡に指定されて100年を迎えたのに合わせ、市温故館(同所)で記念展「100年かけて相模国分寺跡の謎にいどむ」(市教育委員会主催)が開かれている。出土品など約300点を展示するとともに、史跡指定を受けるまでの地元の苦労なども紹介している。

 相模国分寺跡は741(天平13)年、聖武天皇の「国分寺建立の詔(みことのり)」を受けて全国60カ所余りに建設された国分寺・国分尼寺の一つ。高さ約65メートルの七重塔や金堂が設けられた。東西約240メートル、南北300メートルの広大さを誇る。

 だが、明治時代には塔の柱を支えた「心礎」が抜き取られるなど荒廃。そんな状況に心を痛めた尋常高等海老名小学校の中山毎吉(つねきち)校長が国分寺跡の研究を行い、東京帝国大学教授による実地踏査や、有吉忠一県知事の視察などの経過をたどり史跡指定にこぎ着けた。

 中山と同じ海老名小教諭だった石井伴七(ばんしち)が精密に描いた、普段は公開されていない「相模国分寺金堂・七重塔之図」(縦1.3メートル、横約1.5メートル)も展示した。塔最上部の水煙の一部とみられる銅製品や瓦などの出土品、他の7カ所の国分寺跡に関するパネル展示などもある。

 コンピューターグラフィックス(CG)による動画「奈良時代の相模国分寺」(4分2秒)を湘南工科大の協力で製作。七重塔、金堂、回廊などが実物さながらに再現され、市ホームページからたどって見ることができる。同館は「100年前の史跡指定がなければ現在のような保存は難しかった。動画を通じて相模国分寺跡を多くの人に知ってもらいたい」としている。展示は12月5日まで。5月10日、7月12日、9月13日休館。入館無料。

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