2021/4/9

【読書】18歳記者が読み比べた「ポスト資本主義」名著5冊 

NewsPicks編集部  インターン
最近では書店にいくと「ポスト資本主義」関連の本が一角のコーナーを占めるほどの人気だ。それだけ、新自由主義的な株主偏重や環境や、サステナブルとは言えない働き方に疑問や不安を感じる人が多いせいか。
とりわけZ世代と呼ばれる若年層は、幼少期からSNSを通して世界中の情報に触れてきただけに、ダイバーシティに富んだ考え方を持ち、国境を超えた社会問題などに敏感だといわれる。
今後の組織や社会の「主役」になってゆく彼ら彼女らが、現状の資本主義の何に限界を感じ、新たなパラダイムを求めているのかを知ることは、今後の組織づくりやマネジメント、ユーザー理解などに役立つのではないか。
そこで本稿では、NewsPicks編集部に高校3年からインターンとして参画する18歳の記者が、『グレート・リセット』や『それをお金で買いますか』など資本主義に課題を突きつけた本5冊を読み込み、Z世代ならではの解釈を展開してゆく。

資本主義への過剰反応

ここ数年、稼ぐ、金持ち、成功者などという言葉に対し、過度な拒否感を覚えるようになった。
書店に行けば、「稼げる〜術」「一流コンサルの〜」といった題名の本が店頭に並び、周りには「世の中、所詮金だよ」などと達観したがる友達もいる。私はそれらについ目を逸らし、耳を塞いでしまう。
自分でもわかっている。その過剰反応は明らかに自己矛盾に由来するものだ。
金銭的な利益のみを追求するべきでないことは頭では十分認識しているし、社会にとって意味のある働き方・生き方をしていきたいとも真剣に思っている。
一方で、細胞レベルで富や名声に惹かれている自分もいる。セレブな生活はどうしても輝いて見えてしまう。新たな価値観を持った集団として謳われるZ世代だって、資本主義社会にどっぷりと浸かって生きているのだ。
だからこそ、私の頭はセレブ崇拝社会に過度に反発しようとする。社会に対する主張ではなく、自己に対する暗示として、金儲けまっしぐら主義を否定する。
そして、そんな葛藤の中で生まれるわだかまりを心地悪く感じて過ごしていた。
そんな中、私はインタビュー記事の取材として山口周さんとお話しする機会を得た。
「高給取り」に関する特集の取材だったのだが、私はそこで初めて、私は資本主義、もしくは経済成長が限界に達し始めていることを知った。
『経済成長が求めた「安全で便利な社会」はほぼ実現したのだから今後は『真に生きるに値する社会』を目指そう」という山口さんの主張は、私に「もしかしたら、自分の抱える葛藤は社会の変わり目にいるが故のものなのかもしれない」と思わせてくれた。
今後社会が変わっていけば、もう少し居心地のいい世の中が待っているのかもしれない。私は取材の中でそんな希望を抱いた。
そして、今回、自分を蝕む「資本主義」とは一体なんなのか、そして今後社会はどこに向かっていくのか、じっくりと考える機会をもらった。
無論、高校を卒業したばかりの自分は経済や金融に関する知識も浅いため、理論的な面に関しては「なるほど」と思うことしかできなかった。しかし、5冊の本で綴られた言葉からは確実に社会の変革の必要性、そして個人の生き方が抱える役割の重要性を感じた。
これから、私の読んだ5冊の本と、その概要、そして稚拙ながら自身の心の呟きを赤裸々に書かせていただく。少々こじらせた私の言葉は、若者を代表した意見でもなんでもないが、Z世代という土壌で育った一個人の心の声として受け取っていただきたい。