2021/4/6

【痛快】ぼろ儲けより長続き、「三方よし」経営の秘密

NewsPicks ジャーナリスト
資本主義の未来を問うのであれば、日本の古都、京都にあるグローバル優良企業にヒントが隠されているのではないか。
日本には、「買い手よし、売り手よし、世間よし」という、近江商人の心得「三方よし」がある。ステークホルダー資本主義とは、三方よしへの回帰ともいえる。
ところが、実際の日本企業といえば、社員のやる気は世界ワースト水準、取引先には下請けいじめ、赤字垂れ流しによって株主価値は毀損。こうした「三方悪し」の企業も見受けられる。
その点、京都を見渡せば、100年以上の歴史を持つ企業が数多く存在する。しかも、営業利益率10%超えの企業が多い。
京都企業がサステナビリティと利益追求を両立できるのは、日本人の価値観を曲げずにきたから。京都企業の1社、堀場製作所の堀場厚会長はそう答える。
堀場製作所自体も、2010年代に入っても高成長を続ける、京都企業の勢いを象徴するグローバル企業だ。
「ステークホルダーという輸入もんに頼るな。日本には備わっているはずだ」と喝破する堀場氏に、京都経営の神髄に迫る。

ほんまもんで、ぼろ儲けできまへん

──京都企業は100年続いて、ようやく一人前と認められるそうですね。
京都では、いくら規模が小さかろうが、何代も続くビジネスが評価されます。つまり、継続性やサステナビリティのあるものに対して評価する土地柄といえます。
実際、京都企業の経営者の集まりでは、3~4代続いている従業員30、40人のお菓子屋さんの経営者が、ずっと規模の大きな企業の経営者よりも上座に座っています。
なぜ評価されるかというと、長く事業を続けることは「伊達じゃない」と、京都の人は知っているからです。