[ワシントン 2日 ロイター] - 米疾病対策センター(CDC)は2日、新型コロナウイルスのワクチン接種が完了した人に対する指針を改定し、「低リスク」で旅行できるとの認識を示した。これまでは全国民に対し、必須でない旅行を控えるよう勧告していた。

CDCの発表は、米国の旅行業界にとって大きな回復要因となる。旅行業界は2020年初めに新型コロナ危機が始まって以来、大幅に落ち込んでいる。

新たな指針の下、ワクチン接種を完了した人は新型コロナ検査や自己隔離なしで旅行できるようになる。

一方、CDCのワレンスキー所長は記者団に対して「現在感染者が急増している」とし、「今は旅行をするのには良い時期ではない」との慎重な見方を示した。

国外に渡航する場合には、相手国が要件としていなければ、新型コロナ検査を受ける必要がない。国外から戻る場合には、州や地元当局が義務付けていない限り、自己隔離をする必要がなくなる。

ワクチンを接種していない人に関しては、旅行に関する指針変更はない。

また、米国籍を持たない人が中国やブラジル、南アフリカ、大半の欧州諸国に渡航した場合は引き続き米国に入国できないほか、米国への渡航者に対しても、ほぼ全ての空路で入国前にコロナ検査での陰性証明提出を義務付ける。

アメリカン航空やデルタ航空などの国内主要航空会社を代表する業界団体、エアラインズ・フォー・アメリカは3月22日、CDCに対して「ワクチンを接種した人は安全に旅行できる」という内容に指針を改定するよう求めていた。

飛行機を使った旅行は新型コロナ前の水準を依然43%下回っており、出張や海外旅行需要はそれ以上に落ち込んでいる。航空業界団体は、この日のCDCの指針改定を評価した。

*内容を追加します。