[ニューヨーク 1日 ロイター] - 2021年第1・四半期は、金利上昇、循環株へのローテーション加速、ソーシャルメディア(SNS)の投稿を受け個人投資家が「共闘」買いを仕掛けたゲームストップ株の乱高下で投資家は息をつく間もなかった。

第2・四半期の市場に影響を与えそうな5つのトレンドを以下に挙げた。

<利回り上昇>

米10年債利回りは第1・四半期に約80ベーシスポイント(bp)上昇。米景気回復やインフレ加速を予想した売りで過去10年で3番目の上昇幅となった。

多くの投資家は、この基調が続くとみている。ゴールドマン・サックスは2021年末までに10年債利回りが1.9%に到達すると予想。TDセキュリティーズは2%と予想する。

ブラックロックのiシェアーズ投資戦略責任者のガルギ・パル・チャウドゥリ氏は、利回りは「非常に低い水準」から上昇しており、さらに上昇しても株式市場の上昇を止めることはないとみている。

一方、BofAグローバルリサーチの直近のファンドマネジャー調査では、10年債利回りが2%を付けると株が売られる可能性があるとの回答が43%を占めた。

<ドル上昇>

金利上昇でドルはほぼ1年5カ月ぶりの高水準に押し上げられた。一部投資家はドル一段高を見込んだポジションを取っている。直近の米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、ドル安を見込むポジションは103億ドルと1月中旬の約3分の1に減っている。

ドル高は米国の多国籍企業の利益を圧迫し、最近上昇しているコモディティー(商品)にとっても悪材料となる。

<さらなるバリュー>

最近数カ月、株式市場では米経済復活を期待した「リオープニング・トレード」と呼ばれる取引が活発化。銀行、エネルギーのほか何年もハイテク株や成長株に出遅れていたセクターが上昇している。

第1・四半期にラッセル1000のバリュー株指数は11%上昇。同グロース株指数は1%の上昇にとどまった。こうした傾向は2020年末から始まった。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ハフェル最高投資責任者(CIO)は最近のリポートで「名目成長率の持続的上昇や利回り上昇などが起こる新たなパラダイムが台頭すれば、バリュートレードが何年も続く可能性がある」と指摘した。

ただ米経済再開の取り組みに支障がでた場合、ハイテク株の魅力が再び高まり、ハイテク株回帰につながる可能性もある。

<ボラティリティ低下>

第1・四半期は株式市場の波乱懸念が後退した。「恐怖指数」とも呼ばれるシカゴ・オプション取引所のボラティリティー指数(VIX指数)は1年前に過去最高に近い85.47だったが、最近は20を若干下回る水準で推移している。

これは最近の株高が持続的との投資家の期待の表れだとアリー・インベストのシニアオプションアナリスト、ブライアン・オバーリー氏は指摘する。同氏は、一部投資家がS&Pインデックスオプションを利用してヘッジを掛けるため、VIX指数は長期中央値の17.5を上回る水準にとどまるとみている。

<インフレ>

インフレ率はここ10年、米連邦準備理事会(FRB)の目標の2%を一貫して下回ってきたが、数兆ドル規模の景気対策が打ち出されたことでインフレ加速観測が台頭している。

インフレ期待の一つの指標である5年先スタート期間5年の平均金利は2.16%で2018年12月以来の高水準にある。

BofAグローバルリサーチの直近のファンドマネジャー調査では、インフレ率の上昇が「テールリスク」とされた。