(ブルームバーグ): 半導体受託生産を手掛ける台湾積体電路製造(TSMC)は1日、半導体の生産能力を強化するため今後3年で1000億ドル(約11兆円)を投じる計画を明らかにした。旺盛な需要に対応する。

先端半導体の主要メーカー、TSMCは2021年に最大280億ドルの記録的な設備投資を既に計画していたが、世界的に半導体不足が顕著となっており、最近のトレンドや動向が一段の生産能力増強を後押ししている。同社は相次ぐ需要に対応するため各業界の顧客と協力する方針を示していた。

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TSMCは地元メディア報道を受けた資料で、「当社は先端半導体技術の生産と研究開発を支援するため、生産能力の増強に向けて今後3年で1000億米ドルを投じる見込みだ」と説明。「持続的な方法で顧客のニーズに応じるため、顧客と緊密に協力している」と指摘した。

半導体不足による打撃は特に自動車メーカーで大きくなっており、今年は600億ドル超の売上高が失われると推計されている。米フォード・モーターは3月31日、売れ筋のピックアップトラック「F-150」を製造する2工場で生産を一時休止すると発表したばかり。

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TSMCの魏哲家最高経営責任者(CEO)は顧客宛ての書簡で、同社工場が「この12カ月にわたり100%を超える稼働率で操業している」にもかかわらず、需要がなお供給を上回ったと指摘。22年初めから1年間、ウエハーの値引きを停止するとも伝えた。ブルームバーグ・ニュースが書簡を入手した。

1日の東京株式市場では東京エレクトロンが一時前日比5.2%高、SCREENホールディングスは同6.4%上昇した。

原題:TSMC to Spend $100 Billion Over Three Years to Grow Capacity (3)(抜粋)

(第5段落を追加し株価を更新します)

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