[ロンドン/ニューヨーク 31日 ロイター] - 米投資会社、アルケゴス・キャピタル・マネジメントの損失問題を巡り、31日の取引でクレディ・スイスと野村ホールディングスの株価がさらに下落し、週初から合わせて90億ドルの時価総額が失われた。

レバレッジを効かせた取引で損失を出したアルケゴスに対し、クレディ・スイスと野村ホールディングスは、エクスポージャーの縮小で他社に遅れをとった。

この日の取引でクレディ・スイス株は4%下落。週初からの下落率は約20%に達した。経営破綻した金融サービス会社・グリーンシル向けエクスポージャーでも既に圧力を受ける中、UBSのアナリストは、まずはグリーンシル、今度はアルケゴスへのクレディ・スイスの関与について「多くの未回答の疑問」が残っていると指摘した。

時価総額は255億7000万スイスフラン(271億2000万ドル)と、26日から50億スイスフラン減少した。

関係筋はクレディ・スイスの損失は50億ドルに達する可能性があると指摘。クレディ・スイスはこの件に関してコメントを控えている。

野村ホールディングスはアルケゴス問題による影響は20億ドルに達する可能性があると警告。この日の東京証券取引所の取引で株価は2.9%下落。リフィニティブのデータによると、時価総額は26日の2兆3000億円(208億1000万ドル)から、1兆8800億円に減少した。

格付け会社ムーディーズは野村ホールディングスについて、リスクマネジメントに問題がある恐れがあるとして、格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げ。フィッチ・レーティングスは損失の恐れを理由に、存続性(viability)格付けを「ネガティブ・ウオッチ」に指定した。

<規制変更も>

ナショナル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏は「差し当たり、今回は過度なレバレッジを効かせたまれな事例に思える。こうしたファミリーオフィスが他にないか警戒することになるだろう」と述べた。

また、今回のケースはヘッジファンドのようなファミリーオフィスに対する規制変更につながり、保有内容の報告を義務付ける可能性があると付け加えた。

イエレン米財務長官は31日、ヘッジファンドが金融システムに及ぼすリスクを研究する規制ワーキンググループを再開すると表明した。

また、米証券取引委員会(SEC)がアルケゴスの創業者ビル・ファン氏に対する初期段階の調査を開始したと、ブルームバーグが31日、関係筋の情報として報じた。

*内容を追加しました。