大阪府「まん延防止等重点措置」適用を国に要請 全国で初

大阪府は、府内での感染の再拡大を受けて、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にする、「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請しました。重点措置が適用された場合は、大阪市を対象地域とした上で、市内の飲食店などに対し、営業時間を夜8時までに短縮するよう要請する方針です。

大阪府内では、31日、1日としては過去5番目に多い599人の感染が確認されるなど、感染者が再び急増しています。
こうした状況を受け、府は、31日夕方、対策本部会議を開き、吉村知事は「今月中旬以降から感染が急拡大している。国に『まん延防止等重点措置』の適用を要請し、より一段強い対策を実施する必要がある」と述べました。

会議では、府内の感染状況について、▽新規の感染者のうち10代から30代の割合が5割を超え、特に学生の割合が増加していることや、▽大阪市内の居住者では、直近1週間の感染者数が、前の週のおよそ3倍になっていることなどが報告されました。

そして、さらなる感染拡大を防ぐため、緊急事態宣言が出されていなくても集中的な対策を可能にする、「まん延防止等重点措置」の適用を、国に要請することを決め、31日夜、正式に要請しました。

「まん延防止等重点措置」の要請は、全国の都道府県で初めてです。

府では、遅くとも来月5日から3週間程度の期間で、集中的な措置を講じたい考えで、重点措置が適用された場合は、感染が急拡大している大阪市を対象地域とした上で、市内の飲食店などに対し、現在、夜9時までとしている営業時間の短縮要請を1時間早め、夜8時までとするよう改めて要請する方針です。

さらに、府では、会食の際のマスク着用や、飲食店内でのアクリル板の設置などの義務化も検討していて、国の対応を踏まえた上で、具体的な措置を決める方針です。

吉村知事 マスク会食義務化「お願いすることになると思う」

大阪府の対策本部会議のあと、吉村知事は記者団に対し、「まん延防止等重点措置」が適用された場合は改めて対策本部会議を開いて大阪市を対象地域としたうえで、市内の飲食店などに営業時間を夜8時までに短縮するよう要請する考えを示しました。

また、吉村知事は、会食の際のマスク着用の義務化について「事業者に対しても、府民に対してもお願いすることになると思う。事業者には命令ができるので、それに従わなかったら罰則である過料の対象となる。マスクをしない人を入場禁止にしたり、退室をさせたりする義務が生じると思っている」と述べました。

西村経済再生相「あまり時間おかず 検討急ぎたい」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で、大阪府の吉村知事と電話で意見を交わしたとしたうえで「きょうの感染者数もかなり多いようなので、病床の状況も含めて、強い危機感を共有した。『まん延防止等重点措置』の適用について、正式な要請があれば、法律上の要請でもあり、改正特別措置法の付帯決議でも『尊重して対応する』という旨が書かれているので、真摯(しんし)に受け止め、あまり時間をおくことなく、政府として検討を急ぎたい」と述べました。

大阪 ミナミの飲食店 困惑の声も

「まん延防止等重点措置」に関し、大阪府の吉村知事が会食の際のマスク着用や、飲食店内でのアクリル板の設置などを義務化したいという考えを示していることについて、大阪・ミナミの飲食店からは困惑の声が聞かれました。

大阪・中央区にある日本料理店「清月」では、大阪府の要請に従って営業時間を午後9時までに短縮しているほか、席の間隔を広げたり、マスク会食を呼びかけるチラシを店内に貼ったりするなど対策に取り組んでいます。

まん延防止等重点措置が適用された場合の対応について、店主の佐藤和貴さんは「パーティションの設置が義務付けられれば鍋を置くスペースがなくなってしまいますが、代わりに1人用の鍋を人数分用意すると手間もガス代も余計にかかってしまいます。また、マスク会食を守らないお客さんがいた場合、楽しんでいるところを注意するのには抵抗があります」と話していました。

また、営業時間短縮の要請が再び午後8時までとする方向で調整が進められていることについて「1時間短くなれば客が減ってしまい、生ものを扱う店としては廃棄しないといけない食材も出てくると思います。赤字のことを考えると休業も検討しないといけません」と話していました。

大阪 梅田 さまざまな声

新型コロナウイルスの感染の再拡大を受けて大阪府が「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請することを決めたことについて、大阪・梅田ではさまざまな声が聞かれました。

70代の男性は「要請は大賛成です。きょうは久しぶりに外出しましたが人が多くてびっくりしました。持病があるため感染するのが怖いです。もっと厳しい措置をとってもいいのではと思います」と話していました。

20代の大学生の女性は「制度自体、初めて知りました。以前から手指を消毒したり、マスクをつけたまま会食するなど対策はとっているので、もしマスク会食が義務化されても対応できると思います」と話していました。

60代の会社員の女性は「感染が拡大するたびに何かしらの対応がとられ少し収まれば解除されるという繰り返しのように感じます。今回の措置でどれほど効果が出るのか分かりませんが最後まで一人一人が対策をしていくことが大切だと思います」と話していました。

若い世代への感染が急拡大

大阪府内の感染者を年代別に見ると、10代から30代の比較的若い世代への感染が急拡大していることがわかります。

今月3日から16日までの2週間では、10代から30代の新規感染者が全体に占める割合は36.3%でした。

ところが、今月17日から30日までの2週間では、10代から30代の新規感染者の割合が全体に占める割合は51.5%と半数を超えています。

これについて大阪府の吉村知事は「春休みに入り異動の時期にもさしかかり、歓送迎会や飲み会など感染のリスクが高い場面が大きく増えている。そして、それが感染拡大につながっている状況だ」と指摘しています。