ハフポスト日本版とBuzzFeed Japanが合併へ。次世代を担う主役たちと作る「新メディア企業」の3つの戦略を説明します

編集長の竹下隆一郎より、ハフポスト日本版がこれから手がける3つのチャレンジについて説明します。
ハフポスト日本版
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ハフポスト日本版とBuzzFeed Japanが対等合併により5月1日に統合する。

ハフポスト日本版の2400万ユニークユーザー(UU)と、BuzzFeed Japanの3500万以上のUUを単純に合わせると5900万UU規模(ユーザーの重複の可能性もある)のグローバルメディア企業が生まれる。ハフポスト日本版は2020年に4期連続の黒字を達成し、前年比118%の伸びだった。両メディアとも収益力が高く、統合後の社名はBuzzFeed Japanの名前を引き継ぐ予定。

ハフポスト日本版、BuzzFeed Japan News、BuzzFeed Japan、BuzzFeed Kawaii、Tasty Japanの計5メディアブランドはそのまま残り、新会社の傘下でそれぞれ変わらず運営される。

5つのメディアブランド
5つのメディアブランド
ハフポスト日本版

世界的に業界再編が進むデジタルメディア業界。「ニュース」メディアという狭い枠にとらわれず、デジタル上のありとあらゆる表現手法に挑戦し、日本ナンバーワンの総合デジタルコンテンツ企業を目指す。

読者、視聴者、広告主、広告会社・PR会社の皆様に、重点的に取り組む3つのポイントをお伝えしたい。

その①次世代を担う主役たちが抱える課題を解決するメディアに

ハフポスト日本版の読者は60%以上が44歳以下で、男性より女性により多く支持されるメディアだ。若者や学生からの支持も毎年広がっている。

一方、BuzzFeed Japanはミレニアル世代のみならず、Z世代と呼ばれる10-20代に広まっている。こちらも女性ユーザーが多い。さらにコスメやファッション、コンビニスイーツなど毎日の生活に役立つ情報発信を続ける「BuzzFeed Kawaii」や、料理をする人もしない人も楽しめる料理動画の「Tasty Japan」など計4つのブランドを持ち、次世代の高評価を得ている。

ハフポスト日本版もBuzzFeed Japanも、これまで既存メディアと違った視点でニュースや動画などのコンテンツを発信してきた。TwitterやLINEだけでなく、InstagramやClubhouseなど新しいプラットフォームでの存在感も増している。

SDGs、気候危機、ジェンダー平等やLGBTQ、働きかた、男性の育休、新しいベンチャー企業や社会起業家、若者に人気のファッションやカルチャー、中国やアメリカなどの国際ニュース、かわいいコスメや料理、そしてNetflixなどの新世代のエンターテインメント。Z世代やミレニアル世代をはじめとした次世代の読者や消費者にとって生きやすい社会をつくり、さらに新しい世代が「解決したい」と心の底から感じる課題を報じてきた。そしてインターネットを「楽しくポジティブな場所」にするために努力してきた。

これからは両社が一緒になり、立体的な発信ができるようになる。

たとえば、ハフポスト日本版がSDGs企画の中でチョコレートの背後にある児童労働や、その解決に向けて取り組む企業の動きを報じる。その時、Tasty Japanは、エシカルで美味しいチョコレートのお菓子を紹介することができるだろう。牛肉を食べないことで気候危機を考えようとしているZ世代がいたとしたら、毎日口にする食べ物も「重要ニュース」だ。

BuzzFeed Japan News、BuzzFeed Japan、BuzzFeed Kawaiiとも、同じテーマのコンテンツを一緒につくれるかもしれない。

SNSやSEO戦略、Yahoo! JAPAN、LINE、SmartNewsなどプラットフォームとの付き合い方など、コンテンツをどのように読者・視聴者の皆様に届けるか。その成功事例を「すぐにチームで共有する」のが、両メディアの文化だ。ハフポスト日本版では、読者がクリックをするだけではなく、本文をじっくり読んだかどうかを「滞在時間」で調べるなど、単純なPVではない多角的なデータをもとにコンテンツの分析をしている。お互いのノウハウを最速で交換していきたい。

BuzzFeed Japanは、クイズや診断テストなどを通して、ユーザーがコンテンツを読むだけでなく「体験」することを演出してきたメディアで、とてもリスペクトをしている。読者の「やってみた」を応援し、肯定感を与えてきたメディアといえる。

ハフポスト日本版は「会話を生み出す」メディアを掲げてきた。ニュースを読んだあとに、「自分も声をあげていいのだ」と読者に感じてもらい、同僚や家族と話し合ってみることをすすめてきた。

日本は課題だらけだ。ジェンダーギャップ指数は今年も低迷し、G7最下位の120位。政治はうまく機能せず、東京オリンピック・パラリンピックの準備中には日本の悪いところがあぶり出された。生きる希望を持っていない若者もいる。世界を見渡すと、政府も企業も、環境問題の解決に向けて、仕組みを大きくシフトさせている。

日々のニュースに「反応」するだけの受け身のメディアではなく、5メディアブランドが協力しながら自らが課題を設定し、解決をしたいと願う人を巻き込む新しいメディア企業をめざしたい。

その②動画コンテンツを発展させ、グローバル市場に乗り出す

AFP=時事

大手テレビ局を訪ねると、昔ながらの視聴率だけでなく、民放番組をネットで配信する「TVer(ティーバー)」の人気ランキングを廊下に張り出していることに気づく。ようやくテレビ局の競争が「お茶の間の視聴率」から「ネット」へと転換しつつあるのだ。

電通によると、2020年のテレビや新聞など主要なマスメディア4媒体の広告費の合計はおよそ14%減の2兆2536億円。一方、インターネット広告費はおよそ6%増の2兆2290億円とますます存在感を増している。

動画をネットで見る動きは加速する。BuzzFeedはアメリカでは、Netflixと組んで、「世界の“バズる”情報局」( https://www.netflix.com/jp/title/80217889 ) を製作。同じくアメリカの新興ネットメディア「Vox」も、大統領選を解説する「 投票のカラクリ」という番組をNetflixで配信した(https://www.netflix.com/jp/title/81304760) 。

こうした動画配信サービスは、古いテレビ的価値観から心が離れ始めている次世代を意識した番組づくりに定評があり、ネットメディアと相性がいい。ネットに合う記事づくりのノウハウをそのまま番組の台本や企画に活かせるからだ。

ハフポスト日本版は既にZ世代の起業家であり、クリエティブ・ディレクターの辻愛沙子さんと一緒に、SDGsをテーマに毎月ライブ配信をする生配信番組「#ハフライブ」を配信している。

BuzzFeed Kawaiiも、同じくTwitterと「めっちゃKawaii TV」 (https://twitter.com/BuzzFeedKawaii/status/1375054245930561541 )を配信。タレントのりゅうちぇるさんやAKB48の横山由依さんらがコスメやスキンケアなどの情報を楽しく伝えている。「ハフライブ」も「めっちゃKawaiiTV」も、ネットでまとまった時間をかけて動画を見る文化をつくりつつある。

ハフライブ
ハフライブ
Huffpost Japan

ネットの動画配信ビジネス業界は大きな再編が進んでいる。アメリカのウォルト・ディズニー社がみずから動画配信「ディズニー+(プラス)」を開始。「Hulu(フールー)」にも経営参画する。Amazonも動画に力を入れる。次世代に受け入れられ、「日本発」でグローバルに通用する動画コンテンツを私たちがつくっていく。

その③ メディアの知見を生かし企業の課題も解決

ハフポスト日本版とBuzzFeed Japanが一緒になることで、企業関係者や経営者向けの「BtoB(企業向け)のマーケットにも、BtoC(消費者向け)市場にも、広告の文脈に応じて各種の情報を届けられるようになる。

私たちには、テキストのニュース記事だけでなく、動画やポッドキャスト、それらを通じたユーザーとの交流もあり、さまざまなユーザインサイトの蓄積がある。

こうした知見を生かし、消費者の皆様への広告主企業のブランディングを手伝ったり、社内研修を担ったり、あるいは社会的アクションを促すキャンペーンを一緒にやっていきたい。PVや従来型の広告モデルとは異なるビジネスモデルを更に増やしていく。

Tasty JapanやBuzzFeed KawaiiなどBuzzFeed Japan傘下の4ブランドとハフポスト日本版をあわせた広告展開もこれからは可能になる。もちろんこれまで通り、ハフポスト日本版をはじめ各ブランドの広告商品は変わらず、企業の皆様と共にネイティブ広告などを積極的に発信していく。

ハフポスト日本版のビジネス部門を率いてきた崎川真澄CEOが統合後はCRO(最高収益責任者)に就任し、引き続き、新しい挑戦をおこなっていく予定だ。

日本にこれまで無かった「新しいメディア」で働く仲間を募集しています

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。今までにない新しい会社をつくっていくつもりです。テクノロジーやビジョンも大事ですが、何より、こうした新しい会社の船出には仲間が必要だと思っています。

ハフポスト日本版では、以下の業種で一緒に働く人を募集します。皆様からのご応募お待ちしております。

1、ニュースエディター(編集部所属)若干名

2、翻訳エディター(英→日、編集部所属)若干名

※ 応募方法などは詳しくはこちらをご覧下さい

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