[東京 30日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル高/円安の109円後半。午後3時過ぎに110.01円まで上昇した。月末・期末を控えた実需の売買が交錯する中、ドルは米長期金利の上昇に歩調を合わせて買い進まれ、対円では1年ぶり、対ユーロでは4カ月半ぶりのドル高となった。

ドルは朝方の安値109.75円から110.01円まで上昇し、昨年3月26日以来1年ぶりの高値をつけた。

米長期金利の大幅高がドル/円をけん引したほか、ユーロに対するドルの強さがドル/円にも波及した。過去2営業日の間、上値抵抗線として意識されていた109.85円を上抜けたことでドルの上昇に弾みがついた。

リフィニティブによると、米10年国債利回りは朝方の1.7063%(ビッドサイド)から上昇し続け、一時1.7510%と、3月18日につけた1年2カ月ぶり高水準となる1.7540%に迫った。

米国関連の新規材料がない東京時間での米長期金利の大幅な上昇について市場では、米ヘッジファンドのアーケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引を巡り、「複数の金融機関で発生したとみられる損失をカバーするために、(それらの金融機関が保有する)米国債のポジション解消売りに動いている可能性がある」(ストラテジスト)との見方が聞かれた。

市場では、今回の損失問題について、1998年の米ヘッジファンド大手LTCM(ロング・ターム・キャピタル・マネジメント)の破綻や、2007年にBNPパリバ傘下のファンドが解約停止に陥り、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の入り口となったパリバ・ショックになぞらえる向きもいる。

米国債の利回り曲線はスティープ化し、2・10年国債の利回り格差は前日の海外市場でつけた1週間ぶり高水準の157.90ベーシスポイント(bp)から160.10bp付近まで拡大した。

長期ゾーンの金利上昇の背景には、ポジション解消売りのほか、米国での新型コロナウイルスワクチン接種の広がりが景気回復を後押しするとの期待や、バイデン大統領による大型インフラ投資計画が成長を支援し国債増発につながるとの見方などがある。

欧米の金利差や景況感の格差が意識された結果、ユーロは1.1761ドルまで売られ、4カ月半ぶりの安値圏となった。

ユーロ安と円安に挟まれたユーロ/円は129円前半で小幅な値動きに収まった。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 109.97/99 1.1760/64 129.33/37

午前9時現在 109.82/84 1.1766/70 129.25/29

NY午後5時 109.78/81 1.1762/66 129.20/24