ミャンマー軍が少数民族側に空爆で報復 住民が隣国タイへ避難
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ミャンマーは多民族国家で、国軍と少数民族の紛争が絶えたことはありません。200万人ものミャンマー出身者が隣国のバングラデシュやタイで難民、移民として生活している主な背景でもあります。
ミャンマーの多数派のビルマ人は70%、残りの30%は数十の少数民族です。今回空爆を受けたのは、少数民族でも最も数が多く総人口の9%を占めるカレン人の地域です。あとは7%のシャン人や3%のラカイン人が、少数民族の中でも有力な武装勢力を持っています。
2010年にスーチー氏の監禁が解かれ、議会制民主主義に移行していた時期の政治的成果の一つが、少数民族勢力との停戦でした。2020年までに、ラカイン人を除けば、ほぼ少数民族勢力との停戦が成立しました。ただし、ロヒンギャはその時期に従来以上の過酷な虐殺と略奪の対象になっていました。
2121年2月のクー・デタで、少数民族勢力との停戦は全て破算になりました。カレン人もシャン人も指導部は代表者委員会(CRPH)政府への参加を表明していて、「連邦軍」を結成して国軍との戦闘を活発化させる姿勢を見せています。すでに国軍が運送中の食糧を奪取したり、詰所を攻撃するなどの行動に出ています。
国軍としては、非常に忌々しいことで、空爆はその表われでしょう。丸腰の市民が1日で114人も殺害されるのは、紛れもない虐殺です。ただ、カレン族など武装勢力が市民とともに蜂起するとなると、軍対市民の構図を超えて、独立闘争や内戦へと進む可能性もあり、収拾がつかなくなります。空爆という事態は、軍も想定していなかったのではないでしょうか。ミャンマー軍はトップに物申せる人材がほぼ引退して、長老一人に若手幹部がひれ伏す組織構造になっているといいます。ミャンマー軍はメンツを何より重んじることで有名とのこと。軍の自浄作用は期待できないでしょう。出口が全く見えません。
ミャンマーの少数民族は、NLD政権の時も武装抵抗していたので国軍にとっては常に敵扱いだった。少数民族と抗議運動がつながることで、国軍も暴力を使うことのハードルが下がっていると言う側面もあるのだろう。