2021/3/26

【完全理解】とまらない最高益1兆円の秘密

NewsPicks ジャーナリスト
最終利益1兆円を突破──。
パナソニックなど、日の丸電機メーカーが伸び切らない中、ソニーの独壇場が続く。2020年度は最終損益が1兆円の大台超えの見込みで、時価総額は20年前のITバブル時の水準にある。
ソニーはコロナ禍で需要が伸びているゲームやアニメ、音楽といったコンテンツ産業で荒稼ぎしている。
勝てるビジネスを持っていたのが勝因としてしまえば、それまでだ。だが、本当にビジネスの中身を変えることだけが、その要因だろうか。
忘れられがちだが、2010年代前半まで、ソニーはダントツの負け組だったのだ。
「ビリから頂点へ」。ソニーの復活を支えた経営のいろはを、NewsPicksが解説する。
(写真:Justin Sullivan / Getty Images)

ソニーの躍進は「ワニの口」

ソニーの2020年度の業績は、売上高が前同期比6%増の8.8兆円、営業利益が同11%増の9400億円、最終利益が86%増の1兆850億円を見通している。
2020年度はコロナ禍の巣ごもりにより、ゲーム事業をはじめエンターテインメントビジネスが大きく伸びた。幸運に恵まれたのは事実だ。
とはいえ、これだけ業績が高いレベルで安定している企業は多くはない。その力強さには、何か理由があるはずだ。
実はソニーには、勝ち続ける企業に共通する経営財務の条件を満たしている。
それは、お金を稼ぐ力ともいえる、「営業キャッシュフロー」を安定的に伸ばしていること。そして、増えた稼ぎを、どんどん投資に回すことで、さらに稼ぐループを回すこと。
これは当たり前のように見えるが、実際には簡単ではない。
そして、この正のスパイラルが続くと、「ワニの口」にも見える、勝ち組企業に共通した形が現れてくる。
よく見てほしい。2012年度までソニーは、稼ぎが急降下していた。その後もしばらく、安定の低空飛行を続ける企業、それがソニーだった。
ここまでどん底に墜ちたソニーが、いかにして復活したのか。そして、いかにしてワニの口を実現していったのだろう。

ソニーを変えた「大反省」