[東京 24日 ロイター] - 経済産業省は24日、半導体やデジタル産業の政策の方向性を議論する検討会の初会合を開いた。初回は半導体について議論し、第5世代(5G)通信インフラや自動走行など半導体の需要を喚起するとともに、半導体の国内製造基盤を強化する方向性を打ち出した。5月頃に取りまとめ、政府の成長戦略にも反映させたい考え。

会合では、日本の半導体産業の現状に対して大きな危機感が共有された。ただ、一方では、足元でテクノロジーの変化などが起きており、巻き返すチャンスでもあるとの意見も出たという。こうした認識の下、先端半導体製造技術の共同開発と半導体デバイス(半導体チップ)を生産する工場(ファンドリー)の国内立地や、デジタル投資の促進と先端ロジック半導体の設計開発を並行して取り組むことで、ロジック半導体の需要喚起とロジック半導体の設計・開発を強化することを両輪で進めることの必要性が指摘された。

経産省によると、88年に50%あった日本の半導体シェアは、19年に10%に低下。世界第1位の半導体工場数を持つものの、その多くは陳腐化・老朽化しており、ローエンドのレガシー工場が多数になっているという。半導体不足により自動車生産に影響が出るなど、サプライチェーンリスクも高まっている。

会議にはルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長兼最高経営責任者(CEO)やキオクシアの早坂伸夫社長などが出席した。

今後、デジタルインフラ整備やデジタル産業について2回程度の開催を予定している。

(清水律子 編集:平田紀之)