2021/3/28

【週末教養】歴史を学べば、ミャンマーの「大混乱」がわかる

NewsPicks編集部
ミャンマーで2カ月前に起こった国軍によるクーデター。武力を背景にした強引な権力奪取に国民が抗議し、「国軍vs国民」の戦いは激しさを増している。
今や、多くの学生や若者が職場を放棄して抗議活動に参加。それを国軍が武力で鎮圧し、すでに少なくとも320名以上の死者が出ている。
また、日本も他人事ではなく、キリンホールディングスが軍系企業との合弁を解消するなど、ビジネスに影響している。
いつまで混乱は続くのか。そもそも国軍はなぜクーデターを起こしたのか。それをひも解く鍵は、歴史にある。
ミャンマーについて長年研究している上智大学の根本敬教授に、解説してもらった。
INDEX
  • 国軍の源流は「日本」にある
  • アウンサンスーチーと国軍の関係
  • 大統領より「偉い」人
  • アウンサンスーチー政権の「通信簿」
  • 国軍は「企業」も牛耳る
  • クーデターは「構造問題」
  • 国軍支配は「遅かれ早かれ」

国軍の源流は「日本」にある

2月1日、ミャンマーでアウンサンスーチー率いるNLD(国民民主連盟)政権に対し、国軍によるクーデターが発生しました。
クーデターに抗議する民衆のデモが収まる気配はなく、国軍による武力鎮圧によって、25日までに少なくとも320名(政治犯支援協会調べ)が死亡しています。
今、ミャンマーで何が起きているのか。それを理解するためには、国軍の存在を正確に把握する必要があります。歴史をさかのぼってみましょう。
現在のミャンマー国軍の源流は、第2次世界大戦時に、日本が支援して組織されたビルマ独立義勇軍にあります。
日本はイギリスからの独立を目指すビルマ人ナショナリストたちを武装化し、日本軍と共に英軍と戦わせ、1942年にミャンマーを占領しました。
このビルマ独立義勇軍のリーダーこそ、アウンサンスーチーの父、アウンサン将軍でした。