[23日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は23日、地球温暖化が金融の安定性に及ぼすリスクを重点的に扱う専門委員会の設置を発表した。銀行に対して気候変動関連のストレステスト(健全性評価)を行う可能性についても検討する。

FRBは温暖化問題による金融システムへの危険性を理解し、対処する取り組みを強化している。パネル設置は温暖化問題に対応するバイデン政権の方針とおおむね一致するが、FRB自体も2019年にサンフランシスコ連銀が温暖化問題で初の公開会議を開いた。

ただ、こうした方針は、FRBは金利やインフレ、雇用などの問題に注力すべきだと感じている共和党議員からは受けが悪い。

FRBのパウエル議長は下院金融サービス委員会で、FRBの気候変動問題への関与を擁護。「注意深く見ている。ストレステストというシナリオの検討は極めて初期の段階だ」と述べた。

一方、FRBのブレイナード理事は別途、気候変動による金融システムへのリスクを最少化する道を探るため、「金融安定・気候委員会」を設置すると発表。気候変動が個々の銀行に与えるリスクへの対処を扱う目的で設置済みの監督気候委員会と合わせて、FRBによる気候変動問題への取り組みの2本柱とする考えを示した。

FRBはこの数カ月、気候変動リスクについて公の場での発信が増えており、昨年は2本のリポートを公表、昨年末には各国中央銀行などで構成する「気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)」に加盟した。