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世界で唯一、グーグルとテンセントが同時に出資しているスタートアップ。それが今回取りあげたエクスタルパイです。中国を代表する医療AIのディープテック企業として、昨秋にソフトバンク・ビジョン・ファンドなどから3億ドルを調達しています。

「やっぱり中国AI企業はすごい、ベンチャーマネーが集まるのも当たり前」と思われがちですが、実はそうではありません。中国AI企業はかなり厳しい状況に置かれていました。AIだけやってれば評価される時代は終わり、現場に合わせた専門性を持っているのか、それでマネタイズができるのかが問われ、AI企業の中でも選別が進みつつあります。

AI企業が勝ち抜くためには何が必要なのか、エクスタルパイはどうしたのか。米中を股にかけて活躍する投資家の鄭博仁さんにお話をうかがいました。
こういった、医療領域へのデータ活用の話題になると真っ先に気になってしまうのが、データセキュリティの問題です。

これまでデジタルの覇者と言われるGAFAが主に扱ってきたデータは、購買やエンタメ領域だったため、あまり厳格なルールもなく急速に広まっていきましたが(EUのGDPRなどはありますが)、今後こういったデータ×AIが、医療、金融といった、よりセキュリティやプライバシーが重視される領域まで拡大されていくと、俄然重要性が増すはずです。

PwCでは、これまでのデジタル経済を、「1回戦」、これからを「2回戦」というラウンドに切り分けています。
『来る2回戦では、金融資産や自動運転、遠隔医療などの人命に関わるデータをデジタルネットワークで扱うため、情報の安全性、『信頼』が鍵となる。』

2回戦で求められるフレームワークとして
『「ビジネス」「技術」「法律」という三つのリテラシーだ。1回戦において米国と中国はそれぞれ法律を巧みに活用してプラットフォーマーを誕生させたが、日本ではそうはいかなかった。しかし、2回戦ではユーザーからの信頼を確保するための「法律」の重要性が、1回戦と比べて格段に増すことになる。』
と提唱しています。

法律に対する国としての取組み(企業からの働きかけも含め)を如何に早期にグローバルに示していけるのか、が重要になると思いつつ、金融や医療領域では既得権益も多くて、そもそも日本発でのビジネスは難しい気もしており…そこの政治的な改革含めどう進めていくのか、1企業単位で動ける話ではないんだろうなぁ、と思っています。

★PwC 「ジオテクノロジーがもたらす新たな競争環境下での企業の在り方」

https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/prmagazine/value-navi201902/gzero.html
特に中国ヘルスケア分野については、
 「民間のイノベーション/知能化」と「政策」が不可分
に連携しながら進んでいると言えます
 
大きなトレンドとしては、記事にもある①を初めとして
いくつか挙げられるでしょう
 
①「医用画像分析」で大量データ・アルゴリズムの強みを
  活かしたベンチャーが医療機器の承認を得て飛躍
・2020年には10社が「3類」を取り医療機器として認定
← 政府による制度整備・認定付与(出口)
  × 政府による画像DB化・標準化(教師データ)
   (眼底画像や肺画像を匿名化して国がDB整備等)
 
②伝統業界の未成熟を埋める「ネット病院/ネット薬局」
 (病院の順番待ちAppやEC発)がコロナで加速
・大手ネット系がオンライン・オフライン問わず、
 病院・薬局業態に次々と参入
← 薬デリバリーや病院業態への民営資本参入を承認
 
③科創板(中国版NASDAQ)・香港市場を目指して、
  「製薬・創薬」のベンチャーが大量起業・上場
・現在まで計23社10兆円超の企業に赤字上場許容の恩恵
← 製薬・創薬企業を優遇する上場基準の準備
 
周りでも、少し前までBtoB/SaaSで成果出していた
VCが「これからはヘルスケアだ!」と昨年頃から
大きくフォーカス転換しているのを見て、本当に動きが
ダイナミックだと感じます…
中国の医療資源(医療設備、医師、病床など)の多くは三級甲の大病院に集中していて、地域間の医療資源の格差が非常に大きいと言えます。患者は病気の程度に関わらず、常に上級病院に集中し、上級病院の受け入れキャパシティを大きくオーバーすることとなっています。
コロナ前から「看病難」を解消するためにオンライン診療も進んでいますが、コロナでAI医療関連企業は軒並み躍進しています。

中国のオンライン診療は今後下記のような動きがあるかと予測しています。
●プラットフォーマーの淘汰と統合
「阿里雲医院」「京東健康」、「微医」、「平安好医生」などの大型プラットフォームが存在しており、多産多死の中国市場ではプラットフォーマー間の競争が一段と激しくなり、これから大規模な淘汰と統合が起きるに違いない。

●オンラインとオフラインの更なる融合
オンラインとオフラインが繋がるO2Oに対して、オンラインとオフラインが一体化し、完全に融合したOMO(Online Merges with Offline)モデルが競争に勝ち抜く鍵と考える。

●データ活用とカスタマイズされた診療サービス
サーバーに蓄積されたビッグデータの解析により、病気の早期発見・早期治療が実現し、最適な病院、医師、治療方法を提案することができる。カスタマイズされた診療サービスは、オンライン診療の更なる成長に繋がるものと思われる。
AIが医療の場でマネタイズの道をみつけたようです。COVID-19が追い風になり、創薬にスピードが求められるようになった。そのスピードをAIが実現したという構図ですね。
中国の高度人材支援はすごいですよね。日本はどうでしょう。

医療AIの中でも、テンセントやGoogleから投資を受けたエクスタルパイのように、AIに分子動力学や量子物理学を組み合わせた創薬支援AIは面白いですね。このAIソリューションが欲しい、というようなオープンクエスチョンリストを製薬企業が出せれば、創薬支援AIベンチャーはこぞって挑戦しそうです。

新型コロナ問題の影響によりオンライン診療の需要が増加し、医師や患者が直接接するサービスに関するプログラム医療機器に組み込まれた医療AIもどんどん開発が進むと思いますので、今後はAIの医療機器認証が律速になるかもしれません。

将来的には腸内環境のオンライン診療も実施できるようにしたいですね。
一見万能に思えるAIですが、その能力はパターン認識に特化しています。
将棋や囲碁で人間がAIに勝てなくなったように、画像認識や立体物の構造推定においては、AIの方が優秀と言う場面が多くあると思います。ただ、医療においては人の命を預かると言う観点から誰が責任を取るのかと言う問題が常に付きまとうのだと思います。
やはり中国も、医療現場へのAIの導入は慎重だったのですね。

ただ新型コロナウィルスの流行に伴って、壮大な実験場が生まれ、そこで成果を出すことで新しい価値観が受け入れられていくと言う、良いスパイラルが生じたのだと思います。

やはり困難な状況と言うのは、一方で大きな飛躍を遂げるためのステップになると言う事例であるように思います。
この連載について
明日の中国のビジネスを作り上げるスタートアップの生情報を、現地で活躍する投資家たちにレポートしてもらう週刊連載。ジャーナリストの高口康太が、責任編集を務めます。