2021/3/23

【3分解説】ルネサス火災で「車載半導体」はもっと不足する

キアラシ ダナ

NewsPicks 記者

半導体メーカー・ルネサスの国内工場で3月19日に発生した火災は、自動車産業にとって新たな「頭痛の種」となりそうだ。

人的な被害はなかったものの、ルネサスの同工場の一部は生産停止に追い込まれており、完全復旧に時間がかかりそうな見込みだ。

ルネサスが製造する車載半導体は、2020年末から不足している。これにより、自動車メーカーはすでに減産に追い込まれていた。今回の影響はどこまで広がるのか。3分でアップデートする。

INDEX

• Q. 工場火災の影響は？
• Q. 自動車各社への影響は?
• Q. なぜ不足が長期化？
• Q. 今後の見通しは?

Q. 工場火災の影響は？

A. 完全復旧に5カ月かかる可能性も

火災が起きたのは、茨城県ひたちなか市にあるルネサスの那珂（なか）工場だ。

コメント

選択しているユーザー

• 永井 班

  投資銀行

  ・2021年03月23日

  自動車産業の激変×コロナ×米中対立の複雑な計算式に当て嵌めて理解しないとこのニュースのインパクトは分からんですね。
  
  自動車産業はなんだかんだ新車の販売台数を捌いていかないと成り立たない、流れが大事な産業なので、基幹部品不足は痛くて、普通なら不眠不休で復旧してる間は何とか他のメーカーとかに頑張ってもらい繋ぐんですが、半導体メーカーを集約したせいでそもそも代わりが少ないし、米中対立もあってサプライチェーンが複雑というか面倒なことになってしまって打つ手ないって感じですかね。

注目のコメント

• キアラシ ダナ

  NewsPicks 記者

  ・2021年03月23日

  車載半導体大手のルネサスの工場で火災が発生しました。
  まずは人的な被害がなかったことが何よりですが、自動車産業への影響は大きそうです。
  
  車載向けの半導体を巡っては去年から米中摩擦による供給元の減少や自動車のコロナからの急回復、SMICの締め出し、テキサスの寒波での工場閉鎖、旭化成工場での火災と、予想できない事態が立て続けに起きています。
  ここまで、抜群の安定感だったトヨタにも影響が出てしまうかも知れません。
  
  昨年末からの動きを、コンパクトにまとめました。
• Kato Jun

  ユーザベース SPEEDAアナリスト

  ・2021年03月23日

  今回の火災と、自動車全体について。
  
  ルネサス那珂工場は、東日本大震災でも被害が大きかった。①でその時の復旧スケジュールを描いたが、記事にあるように半年弱。ただ、①でコメントしたが個人的にはその時より工場単体としては被害が大きいのではないかと思う。クリーンルームは洗浄度がキーで、火災で煤が発生しているのが気になっている。
  そして、装置も焼損している。震災時にどれだけの装置が壊れて代替が必要だったか知らないが、装置のリードタイムも数か月。そして今は装置業界も活況…1か月で復旧を狙っていると同社の記者会見ではあったが、装置などの算段含めて気になっている。
  
  そのなかで自動車チェーン全体には、②でコメントしたが同ラインでの生産品のうち2/3が自社の他のラインやファンドリに出せるが1/3は出せない。
  自動車は様々な部品を組み合わせて作る。逆にどれかが足りないと止まるということがあり、車載半導体が火災前からボトルネックとなっていたのはここが背景。ルネサスのシェアと上記のリードタイムを考えると、1－2か月は各メーカー在庫があると思う（車載半導体がタイトという話も12月くらいから出始めて、生産調整が発生したのが1－2月）が、それよりはるかに復旧までに時間も足りない量も発生する。自動車各社の決算での2021年度フォーキャストがどうなっていくか…
  
  ①https://newspicks.com/news/5702840
  ②https://newspicks.com/news/5704150
• 永濱 利廣

  第一生命経済研究所 首席エコノミスト

  ・2021年03月23日

  自動車部門は鉱工業生産でもウェイト最大ですし、産業連関表でも生産誘発係数トップですから、鉱工業生産や景気動向指数、GDPなどの主要マクロ指標に影響が及ぶことは不可避でしょう。