2021/3/22

【戦略】投資コンサル会社が「雑誌」に目をつけた理由

NewsPicks, Inc. 記者
2月9日、老舗出版社の株式会社枻出版社が東京地裁に民事再生法の適用を申請し、同日に保全・監督命令を受けた。
同社は1973年に設立し、『PEAKS』『ランドネ』といったアウトドア雑誌や趣味・ファッションの雑誌、『世田谷ライフ』などの地域誌を発刊している。
帝国データバンクによれば、直近3期は赤字が続いていたという同社だが、コアなファンが多いとされていた老舗出版社の経営破綻は、業界内外に衝撃を与えた。
画像:枻出版社公式ホームページより
これに先立ち、2020年12月には、同社の複数の雑誌タイトルと子会社のピークス株式会社を、投資会社ドリームインキュベータが傘下に収めている。獲得した趣味・ライフスタイル系メディアは24にのぼる。
苦境に陥る「オールドメディア」である雑誌媒体に、投資会社が目をつけた理由とは。
ドリームインキュベータ執行役員で、子会社となったピークス株式会社の代表取締役に新たに就任した半田勝彦氏と、コンサルティングを統括した野邊義博取締役に話を聞いた。

老舗出版社ゆえの悩み

──枻出版社の事業を譲受することになった経緯について教えてください。
半田 もともと私と、今回新たにピークスで共同代表に就いた白土学が、(広告会社の)博報堂にいた頃に一緒に仕事をしていました。
白土は新卒で枻出版社に入社し、博報堂のグループ会社での勤務を経て、再び枻出版社に復帰をするのですが、自社の経営を改革していこうと奮闘する中で、(ドリームインキュベータに移籍した)私に相談を持ちかけてくれるようになったのです。
半田勝彦(はんだ・かつひこ)博報堂/博報堂DYメディアパートナーズでi-メディア局、雑誌局などを経験。2018年にドリームインキュベータに参画し、事業投資を担当する執行役員に就任。出資先であるボードウォークの取締役も兼務。ピークスでは代表取締役 兼 取締役会議長を務める
──当時、枻出版社は具体的にどんなことを改革しようとしていたのですか。
出版社には、高度な専門知識で編集制作を行っている編集者さんと、それを読者に届けたり、クライアントに強みを提案することを続けてきた営業さんがいます。
紙の雑誌を作ることに最適化されている出版社ですが、DX(デジタルトランスフォーメーション)普及などを受けて、変化に対応することができなくなっている。
歴史の長い老舗出版社であれば尚更です。
さらに、出版業界を取り巻く環境も厳しくなっている。枻出版社の場合は、デジタル化だけでなく、コーポレートトランスフォーメーション(CX)も必要なのだと、危機感を持たれていたのだと思います。
もちろん、デジタル化の取り組みを、枻出版社がしていなかったわけではありません。特にグループ会社のピークスでは、動画配信やイベント運営などを積極的に行っていました。
試行錯誤しながら改革を進めていく中で、私にも相談を持ちかけてくれた。内部から変えていくだけでなく、外からの視点や後押しによって、さらにスピード感を持って進められるという思いもあったのではないでしょうか。
(TkKurikawa/istock)

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