新着Pick
141Picks
Pick に失敗しました

人気 Picker
ブリンケン国務長官が冒頭に、人権問題などで中国を批判したのは、中国側には予想外だったようです。楊潔篪政治局員が、2分という約束を大幅に超過して16分も激しく反発したのは、米国にやり込められたと中国国民に見られる訳には行かなかったでしょう。ただ、それ以上に、中国は米国と対等に扱ってもらいたいという願望がありますから、期待を裏切られれば激しく怒るという側面もあるかもしれません。中国は、自らが経済的にも軍事的にも強大になり、国際社会で畏怖される存在になりたいのです。
中国はこの会談を「米中ハイレベル戦略対話」と呼んでいます。米国側が「戦略対話ではない」と言っても、会談後も呼び方を変えません。国営新華社は、「中国側が米中ハイレベル戦略対話を語る」という記事の中で、楊潔篪政治局員の談話として、中国側は「非衝突非対抗、相互尊重、協力ウィンウィン」の関係を米国に求めたとしています。
相互尊重は、お互いの政治体制や社会体制を尊重するという意味ですから、中国が国内(香港を含めて)において中国が言う「治安維持」という人権侵害に対して、米国が口を出すな、という意味にもなります。中国は、米国が中国を「尊重」してくれることを望んでいるのです。
しかし、中国が「自分が見たい米中関係」を見ようとする限り、正しい相互理解を得ること自体が難しくなります。米中ともに戦争したいとは考えていませんし、完全なでカップリングは非現実的と言っていますが、誤解から緊張が高まる可能性もあります。
互いのメンツがぶつかった会談。中国側が人権問題で「中国には中国の民主主義がある」とわざわざカメラの前で反論した場面は象徴的でしたが、双方全て想定内の”義務と演技”ではないでしょうか。中国側の20分近い冒頭発言のあと、サリバン大統領補佐官がブリンケン国務長官にサッとメモ渡し、メディアを呼び戻したのは機転が効いてました。一方でメディアを退出させたあとが本題かと。貿易、北朝鮮などでどんな意見交換があったか。時間差できょうあたりから随時オモテに出てくるのでは。
違いはあるし、激論は交わすが、お互い席を立たず、幅広い議題を扱い、問題の解決に向けた協議をするという姿勢を持ち、最後まで交渉していたというのは今後の米中関係を見る上で重要な点であろう。簡単な解決があるわけではないが解決する意思がある限り何らかの出口はある。
米政府高官は会談前に、今回はお互いの関心や意図、優先事項を理解するための最初の会談であり、中国の現状を少しでも理解したいと述べていた。CNNによれば2日間で議論は3セッションあったという。サリバンが語ったように「厳しく率直な」話し合いができたのは事前の狙いどおり。対立するのは経済、貿易、技術、ウイグル、チベット、人権、香港、サイバー、台湾。一方、共通の利益を探れるのはイラン、北朝鮮、アフガニスタン、気候変動。

経済や貿易、技術については分野が絞られている。だからこそ中国としてはやりずらい。また最近、北朝鮮についても米中は話せるとの議論が散見されるが、それは日韓の関心が高い一方で、北朝鮮の出方が読めず、米中が巻き込まれないようにという理由もあるだろう。以前は国際保健も共通の立場が探れるのではという期待もあったが、ワクチンナショナリズムが台頭し、中国とQuadがワクチン外交で競争することになり、なかなか難しい。

米中がお互いの優先事項と意図を理解でき、誤算を避けるためにも有意義な会談だったのではないか。

初日冒頭の1時間超の応酬について、ようやく全体を収録した動画が出た。
https://www.c-span.org/video/?510091-1/secretary-blinken-chinese-foreign-minister-clash-meeting-anchorage-alaska

国務省は冒頭のやりとりのほぼ全文を公表。
https://www.state.gov/secretary-antony-j-blinken-national-security-advisor-jake-sullivan-chinese-director-of-the-office-of-the-central-commission-for-foreign-affairs-yang-jiechi-and-chinese-state-councilor-wang-yi-at-th/

そしてブリンケンとサリバンの会談後の記者会見の全文。
https://www.state.gov/secretary-antony-j-blinken-and-national-security-advisor-jake-sullivan-statements-to-the-press/
この種の会談では双方の短い冒頭発言と撮影があり、報道陣が退出した後に非公開で突っ込んだやりとりがあるのが一般的な形式で、冒頭発言は当たり障りのない範囲のコメントで終わることが普通です。しかし朝日新聞の報道によると、部屋を出ようとした報道陣を双方が引き留めた上で、オンレコの状態で1時間にわたる非常に厳しい非難の応酬があったようです。こんな展開になった閣僚会談の例を私は知りません。
「イラン、北朝鮮、気候変動など協力できる分野もある」という合意余地の部分が、今後どうなるか。
2019年2月、米朝トップのハノイ会談が合意なしに終わったときは、その後の展開を予測するのが難しい雰囲気だった。今回の米中・外交トップ会談は、今後の協議につなげてゆくムードだったことがわかる。揚潔チ・共産党政治局員が2日間の会談は「率直かつ建設的で実りあるものだった。もちろん食い違いも残っている」と述べたのは、米中協議が続くことを示唆している。揚氏がツイッターで「健全で安定的な方向に今後を導くため、双方が対立しないという方針に沿うべきだ」という言葉からは、米中双方は物別れに終わることを回避する思いを共有しながら、言いたいことを言った会議だったことがわかる。
根底にあるのは、中国はアメリカを本気でバカにし始めたということでしょうね。確かにアメリカのコロナ感染への対応、議会襲撃、人種差別、など中国の方が対応が上手かった分野はあります。民主主義は高いコストがかかるが、中国の全体主義より優れている、と示せるかどうかです。
オンラインで日米豪印首脳協議を済ませ、日本、韓国とそれぞれ外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)をやり、同盟関係を固めて臨んだ米中トップ会談。日部豪印首脳協議も米韓2プラス2協議も中国を名指しで批判していないのに対し、日米2プラス2協議の成果文書は中国を名指しで批判する形をとって、我が国は中国外務省の報道官から「米国の戦略に従属し、信義に背いて中日関係を破壊し、オオカミを部屋に引き入れるのをいとわなかった(3/8配信:産経新聞)」との罵りを受けています。名も無きネット市民のツイートではありません。中国外務省の報道官が、北朝鮮のテレビ報道と見紛う言葉で日本を罵る傍ら、米国にはここまでエゲツナイ言葉を使わなかった。中国にとっていまや日本は米国の保護次第の取るに足りぬ弱小国と見えている証左でしょう。
アラスカで激しい非難の応酬があったとのことですが、もともと中国に近いと言われるバイデン大統領のアメリカが「イラン、北朝鮮、アフガニスタン、気候変動」更にはサプライチェーンの再構築、貿易といった思惑に絡んで日本の頭越しに交渉を始める可能性はなきにしもあらずでしょう。そんなことになったら中国の圧力が強まって大変なだけに、同盟重視の形を作って臨んだ会談で頭越しの妥協がなされなかったことに胸を撫で下ろしはするものの、今後の交渉の行方は油断出来ないと感じないでもありません。
中国が日本にそれなり気を使っていたのはついこの間のことだったように化石のオッサンは思うのですが、経済の衰退はいろんな面で我が国を辛い立場に追い込みますね・・・ ガンバらなくちゃ(・・;
冷戦期の米ソ関係のようにすべてが対立というわけではなく、現在の米中は是々非々の関係であり、非の所はお互いに譲れないというわけだ。日本が気を付けないといけないのはどこが是で非なのかを見極めることだろう。