[ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は19日、大手行を対象にした自己資本規制である補完的レバレッジ比率(SLR)に関する緩和措置を延長せず、期限の3月末で終了すると発表した。また、同規制が意図どおりに機能していない可能性があるとして見直す考えを示した。

SLR規制の緩和は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い昨年4月に導入。米国債と準備預金をSLRから除外することが認められ、銀行は資本を積まずにバランスシートの拡大が可能となった。今回、特例措置が延長されなかったことで、大手行は規制順守のために米国債の売却を迫られ、長期金利にさらなる上昇圧力がかかる恐れもある。

ただ、FRB当局者らはこの日、米国債市場が安定しているほか、大手行の資本水準も高いとして、特例措置が失効しても流動性が損なわれたり市場に混乱が生じることはないと強調した。

FRBの発表を受け、株式市場ではJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ、シティグループなどの株価が軒並み大幅安。国債市場では10年債利回りが1.7353%に上昇した。

OANDAのシニア市場ストラテジスト、エドワード・モヤ氏は「銀行にとって今後より多くの資金を確保せねばならず、銀行株には悪材料」としながらも、最終決定ではなく、見直しが行われることから「安心感も広がるはずだ」と指摘した。

SLR緩和を巡っては銀行業界がFRBに延長を強く促す一方、一部の民主党有力議員らはシステミックリスクの助長につながるとして延長に反対していた。民主党のブラウン上院議員はFRBの決定について、「コロナ禍で甚大な被害を受けた地域に融資をもたらす上での勝利であり、金融システムの安定性にとっての勝利でもある」と語った。

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