2021/3/20

【直撃】ロゼッタ社長が明かす「英語禁止令」の真意

ネット上で利用できる自動翻訳(機械翻訳、AI翻訳ともいう)の機能が飛躍的に向上してきた。業務で必要な外国語の文章を、Google翻訳やDeepLで気軽に日本語に翻訳している人も多いだろう。
英語が苦手な人にとって、こうしたツールはありがたい存在だ。さらに、自動翻訳の技術を応用して、本格的に母国語だけで仕事をすることを選択する企業も出てきている。
自動翻訳は、英語を苦手とする人を助けるツールとして、どこまで進化し、「使える」ようになっているのか。
特集1日目は、「聞く・話す」の分野の自動翻訳の新サービスに着目してみた。

全社員が「英語禁止」に

内外の外国人と話をする時に、日本人社員が英語および中国語を話すことを禁止します。

外国人社員が日本語を話すことも同様に禁止します。
ロゼッタ(東京都新宿区)が3月、こんな衝撃的な「英語禁止令」を社内に発令し、話題を集めた。
ロゼッタは産業用のAI翻訳を手掛ける。2020年2月期の連結売上高は39億1000万円、営業利益は4億4800万円で、建設業や医療機関向けなど専門性の高い産業用の翻訳が主力だ。
ロゼッタグループの社員は約260人。その2割が外国人で、業務で外国語を使用する機会は少なくない。
ではどのように母国語のみでコミュニケーションをとっているかというと、VR(仮想現実)事業を手掛けるグループ会社のMATRIX(マトリックス)が開発した、会話の自動翻訳を使用している。
この翻訳機能は、話者の発した言葉と訳文がリアルタイムでVRやPC、スマホの画面に字幕表示される。複数人の会話にも対応可能だ。
同社はコロナ禍を機に昨年10月にVRに本社を「移転」したため、ほとんどの社員がリモートワークをしている。自動翻訳機能を搭載した「ウェブ上の言語フリー部屋」で、会議や打ち合わせをしているという。
ちなみに、うっかり英語を口にしても罰せられることはない。
【直撃】ZOOMじゃ物足りない。僕らはVRに本社を移す
マトリックスは今年5月頃にこの翻訳機能を「友コネクト(YouConnect)」と称してサービス提供し始める計画で、現在は社内の業務で使用しながら、使い勝手や不具合を検証している。
実際にこのサービスはどれくらい「使える」のか。記者が体験してみた。