[サンパウロ 17日 ロイター] - ブラジル中央銀行は17日に開いた金融政策委員会(COPOM)で、政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、2.75%とした。利上げは約6年ぶりとなる。

政策委員会は全会一致の決定だったとし、インフレ率が目標水準を上回っていることから利上げが適切だと判断したと説明した。

ロイターが実施したエコノミスト調査では、エコノミスト30人中、29人が50bpの利上げを予想していた。

2月の消費者物価指数は前年同月比5.20%上昇し、中銀目標を上回った。中銀は年末の物価上昇率目標を3.75%とし、上下ともに1.5%ポイントの許容範囲を設けている。

政策委員会は、インフレ率は21年と22年を含めた見通しの期間内、中銀予想を上回って推移すると見込まれるとし、現状を踏まえると刺激策の停止が適切との見方を示した。

「次回会合については、インフレ見通しやリスクバランスに大きな変化がない限り、同程度の追加調整により段階的な正常化のプロセスを継続する」と表明した。

政策委員会は、市場ベースの金利や為替相場の見通しを踏まえると、年末のインフレ率は5.0%と、中銀目標レンジの上限近辺になると予想している。

エコノミストは、中銀が景気下振れリスクよりもインフレ上振れリスクを警戒していることを示すと指摘する。

みずほ銀行(サンパウロ)のチーフストラテジスト、Luciano Rostagno氏は、より積極的な利上げを市場は歓迎すべきだと述べ、「政策正常化の前倒しは金融市場を早期にしっかりと安定化させることにつながり、通貨レアルも支援され、年末のインフレ率が目標を上回るリスクも最小限に抑えることができる」と説明した。

中銀は15年7月に政策金利を50bp引き上げ、14.25%にしたのを最後に利上げを行っていなかった。

ゴールドマン・サックスの中南米リサーチ部門代表、アルベルト・ラモス氏は、中銀は金融政策の段階的な正常化を進めているが、現時点で中立的な金融スタンスに向けた動きを急いではいないと述べた。

中銀がエコノミストを対象に今週実施した調査では、年末の政策金利は4.50%、来年は5.50%と予想されている。大半のエコノミストは、完全雇用と潜在成長率が達成されインフレ率が安定している状態での「中立的な」金利は6.0─6.5%程度と考えている。