[東京 15日 ロイター] - 菅義偉首相は15日の参院予算委員会で、新型コロナウイルス感染拡大防止のため21日まで期限が延長されている首都圏での緊急事態宣言の解除有無に関し、現時点では判断できないとの見解を示した。新規感染者数、病床逼迫状況ともに改善しているとの見方も示し、解除の有無は総合判断すると述べた。

また、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、緊急事態宣言を延長しても本質的な解決にはならないとの考えを示した。福山哲郎委員(立民)と青木愛委員(立民)への答弁。

菅首相は午前の委員会で「(首都圏の緊急事態宣言を)2週間延長したのは病床が逼迫しており、しっかり改善することが主な理由だった。飲食店に対象を絞った対応で約8割発生者が減ってきたが、ここにきて下げどまり、横ばいの状況になっている。そのようなさまざまな数字を判断する中で、専門家の意見を聞き、最終的には判断したい。ただ、いま完全に延長するとか言える状況でない」と述べた。

政府の新型コロナ感染症分科会の尾身茂会長は、現在注視すべき課題として高齢者の昼カラオケや若者の会食増加、感染源の分からないクラスターなどを挙げた。「変異株は既存株にとって代わり、主流になるのは時間の問題」とも指摘した。

<尾身会長「今までの延長、解決にならない」>

菅首相は午後の委員会で、青木委員から午前中の答弁に関連して「解除ありきではない、ということでいいか」と質問され、「総合的に判断する」と回答。「新規感染者数は横ばい、やや微増の状況だが、1都3県で(感染程度を表す4段階で2番目に軽微な)ステージ2の水準であると承知している。病床使用率も徐々に改善し、ステージ3だ」と指摘した。

一報、尾身会長は、今までやり方を「延長しても解除しても、感染抑え込みの本質的な解決にならない」と指摘。「新規感染者が微増しており、それには必ず原因がある。どのように感染を再拡大(リバウンド)させないか、共通の理解が必要」と述べた。

*内容を追加しました。

(竹本能文 編集:内田慎一)