[14日 ロイター] - 英製薬大手アストラゼネカは14日、同社が英オックスフォード大学と開発した新型コロナウイルスワクチンの接種データを検証した結果、血栓との因果関係を示す証拠は見つからなかったと発表した。

同社は欧州連合(EU)と英国で同社製ワクチンを接種した1700万人以上のデータを検証。その結果、「どの年齢層、性別、バッチ番号、国についても、肺塞栓症、深部静脈血栓症、血小板減少症のリスクが高まったと示す証拠は見つからなかった」とした。

アイルランド、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、オランダの当局は、同ワクチンの接種後に血栓ができる事例が報告されたことを受け、接種を一時中止。オーストリアは接種後に1人が死亡したため、国内接種を一時中断して調査を行っている。

英政府の防疫担当顧問だったピーター・イングリッシュ氏はロイターに対し「各国が『予防的』措置としてワクチン接種を中断したことは極めて遺憾だ。ウイルスの感染拡大を遅らせ、パンデミックを終わらせるのに十分な人数にワクチンを接種するという目標から遠ざかりかねない」と語った。

欧州医薬品庁(EMA)は同ワクチンと血栓の因果関係は示されていないとの見解を示しており、世界保健機関(WHO)もまた、12日に同様の見方を表明した。

アストラゼネカによると、これまでに深部静脈血栓症の事例が15件、肺塞栓症が22件報告されているが、他の使用許可を受けているワクチンと状況はあまり変わらないという。

また、同社と欧州保健当局が追加の試験を行っているが、懸念材料は出ていないとした。

アストラゼネカ製ワクチンはEUや多数の国で使用許可が下りているが、米国ではまだ許可されていない。

同社は今月終盤もしくは4月初旬をめどに、同ワクチンの緊急使用認可を米食品医薬品局(FDA)に申請する用意を進めていると、関係筋が12日明らかにした。

*内容を追加しました。