[11日 ロイター] - 米ノババックスは11日、英国で実施した新型コロナウイルスワクチンの後期臨床試験(治験)で、従来型のウイルスに対し96%の有効性が示されたと発表した。ノババックスは今回のデータを用い、複数国の規制当局に承認申請を行う見通し。

英国で感染が広がっている感染力の強い変異株に対する有効性は約86%で、従来型と英国型のデータを合わせた全体としての有効性は約90%だった。

感染力の強い別の変異株が広がっている南アフリカで実施された小規模な治験では、エイズウイルス(HIV)未感染者に対する有効性は約55%にとどまった。HIV感染者を含めると有効性は約49%に低下した。

ただ、英国と南アのいずれの治験でも、重症化や死亡を防ぐ効果は100%となった。

ノババックスの株価は時間外取引で22%急騰し、229ドルとなった。同社がコロナワクチン開発を発表した昨年1月21日時点の株価からは10ドルを下回っていた。

同社のフィリップ・ドゥボフスキー最高医療責任者(CMO)は、南アの治験結果に基づくと、南ア型変異株の感染が拡大している地域で同社のワクチンを使用する妥当性は依然あるかもしれないと説明。

変異株に対応するワクチンも開発中で、今年第2・四半期に治験を開始する計画。

ノババックスのワクチンは、2回接種が必要。同社は複数の国で当局に承認申請を行う方針だが、米国での申請時期や、米規制当局が同国内で実施されている治験の完了を求めるかどうかは不透明。米国の治験データは4月初旬までにそろうと見込む。

ドゥボフスキー氏は、英国での認可申請は今年第2・四半期の早い時期を引き続き予定していると述べた。

ノババックスのアーク最高経営責任者(CEO)は今月ロイターに対し、米当局が英国の治験データのみで十分と判断すれば、早ければ5月にも米国での使用が許可されるとの見方を示した。一方、米国での治験結果を待つ場合、さらに2カ月程度かかる可能性があるという。

ドゥボフスキー氏は「米当局が最終的に、提出済みのデータで十分なのか、米国の治験データがそろうのを待つべきかを決めることになる」と述べた。

ノババックスの幹部によると、ワクチン生産工場は4月までに完全に稼働可能となる見通し。アークCEOは、米国の承認取得に合わせて出荷できるよう数千万回分を備蓄しておく考えを示している。

同社はインドのセラム・インスティテュート・オブ・インディアなど8カ所でワクチンを生産する計画。

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